研究課題/領域番号 |
18KK0204
|
研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋本 千絵 京都大学, 野生動物研究センター, 助教 (40379011)
|
研究分担者 |
宮部 貴子 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 助教 (10437288)
徳山 奈帆子 京都大学, 野生動物研究センター, 助教 (60779156)
|
研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2019年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2018年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
|
キーワード | チンパンジー / ボノボ / 老齢 / 閉経 / おばあちゃん仮説 / ウガンダ共和国カリンズ森林 / コンゴ民主共和国ルオー科学保護区 / 性の進化 / 不妊 / 性ホルモン動態 / ヒト科 / おばあさん仮説 / 老齢メス / 繁殖成功度 |
研究実績の概要 |
メスが寿命よりも数十年も早く繁殖を終えるという「閉経」は、これまでヒトとクジラ類でしか確認されたことのない非常に稀な進化しにくい形質で、ヒトでなぜ閉経が進化したかについては未だに解明されていない。ヒトに最も系統的に近いチンパンジー・ボノボにおいても、閉経の有無は未だに決着がついていない。本研究は、これまで長期継続調査を続けたウガンダ共和国カリンズ森林保護区の野生チンパンジーとコンゴ民主共和国ルオー科学保護区の野生ボノボを対象に非侵襲的に収集する尿試料による性ホルモンの動態分析を行い、加齢による性生理の変化と閉経の有無について明らかにすることを目的としている。さらに、閉経の進化に関係する社会的・繁殖戦略的な要因、つまり、老齢メスの子どもの生存率や母親から子どもへのサポートによる孫世代の繁殖成功度の増加などについても調べ、大きな議論を呼んでいる「おばあさん仮設」の検証を行う。2022年度は、2015年までに収集した尿サンプルを用いた出産後のボノボのメスの性行動とホルモン動態の経年変化に関する分析を終え、国際学術誌で出版した。この分析には、42才と45才の2頭の老齢メスが含まれてていたが、前者のメスは40才で、後者のメスは44才で出産しており、出産後の交尾行動の再開や性ホルモンの動態にはより若いメスとの顕著な違いは見られなかった。野生ボノボのメスの寿命は一般に40-45才と考えられており、この結果を見る限りでは閉経の存在は確認されなかった。 新型コロナ感染症が落ち着いたため、現在老齢メス等の新たな尿サンプルの収集と分析を始めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの流行により、野外調査の中断を余儀なくされたため。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年となる本年は、可能な限りチンパンジーとボノボの現地調査を行い、老齢メスを中心として尿サンプルの収集を行う。これによって、野生類人猿の閉経現象の有無に関するデータをさらに充実させる。また、老齢メスの出産記録や生まれた子の生存記録などにもとづいて、老齢による繁殖成功の低下や孫の生存に対する影響の有無などを分析し、おばあちゃん仮説の検証を進める。ボノボの性ホルモン動態についての総論をまとめる。
|