研究課題/領域番号 |
18KK0379
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
数学解析
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研究機関 | 一橋大学 (2021) 東京大学 (2018-2020) |
研究代表者 |
米田 剛 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (30619086)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2021
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
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キーワード | 微分同相写像群 / Euler方程式 / 非圧縮Euler方程式 / エネルギー逆カスケード / 微分同相群 / 非線形相互作用 / 非適切性 |
研究開始時の研究の概要 |
渦の非線形相互作用そのものの数理的理解を深めるためには、線形近似を一切認めない「微分同相群」の方法が(今現在のところ)一番適しているのではないか、と予想している。すなわち、非圧縮オイラー流を無限次元多様体上の測地線とみなして、その渦の非線形相互作用を測地線付近の断面曲率とみなす解析手法である。さて、二次元乱流では、エネルギー逆カスケードによって最終的には大スケールの渦のみが生き残ることが広く知られているが、その数理的構造はほとんど未解明のままである。この微分同相群の手法によって、そのエネルギー逆カスケードの数理的理解を或る程度深められるのではないかと予想している。
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研究成果の概要 |
微分同相写像群によるオイラー流の研究、特に、共役点とArnold's stabilityとの関係性に対する洞察を進めることが出来た。共役点とは、大雑把に言って、摂動として小さな渦を加えたとき、その渦が崩壊しない状態を表す。一方で、Arnold's stabilityとは、大雑把に言って、その摂動としての小さな渦が、シアによって綺麗に消滅していく状態を表す。 この物理的解釈により、共役点とArnold’s stabilityは相反する流体現象であることが想像できるが、その数学的な洞察を推し進めたことこそが本研究の成果となる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
流体の非線形挙動を深く洞察出来得る数学解析を提示できた、という意味合いにおいて、本研究の学術的意義は大きい。特に、2021年にJFMに出版されたMatsumoto-Otsuki-Ooshida-Gotoの論文で「Euler座標とLagrange座標の違いで乱流の或る重要な統計量が本質的に変わってしまう」ことが物理的に示されており、それは「流体の非線形挙動に対する数学的洞察を飛躍させるためには、Lagrange座標に密接に関係するリー代数構造を深くみていく必要がある」と翻訳出来得る。その問いへの答えを目指す形で「微分同相写像群によるオイラー流の研究」を推し進めることが出来た。
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