研究課題/領域番号 |
19320115
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川喜田 敦子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特任准教授 (80396837)
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研究分担者 |
石田 勇治 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30212898)
柴 宜弘 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50187390)
谷川 竜一 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (10396913)
小田 博志 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (30333579)
木畑 洋一 成城大学, 法学部, 教授 (10012501)
近藤 孝弘 名古屋大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40242234)
武井 彩佳 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 専任講師 (40409579)
前川 愛 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (30506796)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
15,340千円 (直接経費: 11,800千円、間接経費: 3,540千円)
2009年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2008年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2007年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 崩壊社会 / 社会再編 / 地域和解 / 被害者支援 / 記憶の継承 |
研究概要 |
第二次世界大戦期のナチ・ジェノサイドと強制移住はその全ヨーロッパ的広がりと複合性にもかかわらず、これまで主としてドイツ史上の問題として取り扱われてきた。しかし、ナチ・ジェノサイドと強制移住がともに中東欧の秩序全体に波及する問題であったこと、それに対する処理が第二次世界大戦の戦後処理の枠内で国際社会の多様な要因とアクターが絡み合うなかで進められたことに鑑みれば、同問題をヨーロッパという地域全体の問題としてとらえるとともに、第二次世界大戦後の国際関係の文脈のなかに位置づける必要がある。また、冷戦終結後の欧州統合の拡大の流れの中でこれに関わる正義の回復と歴史的記憶の問題が改めて浮上し、関係各国間に摩擦を生んでいる現状を踏まえれば、この問題を長期的なスパンでとらえることの重要性も明らかである。本研究では、第二次世界大戦後のヨーロッパにおける、ナチ・ジェノサイドと強制移住後の秩序再編と社会変動について、国際社会における国家間の力学、当該地域における社会経済構造や民族構成の変化、被害者・加害者双方の社会復帰ならびに社会再建への共同参画を進めるための法的、制度的、社会的枠組みの形成、精神的後遺症に対するメンタルケアを含めた被害者の救済・支援のあり方など幅広い観点から包括的に検討した。同時に、ヨーロッパにおける社会再建の分析を通じて、他地域におけるジェノサイド後の地域和解・反ジェノサイド社会構築のための指針を提供することを目的として、歴史的記憶の継承と地域和解の展開と現状についても検討を行なった。国民国家原理に基づく、主としてエスニックな基準による少数者排除の論理が20世紀において各国内ならびに国際社会においていかに正当性を獲得し、また失っていくか、民族問題の解決のためにとられる手段としての暴力が戦争・紛争のなかでいかに急進化し、大規模な強制移住や虐殺による絶滅に帰着するにいたるか、崩壊した秩序が国内的・地域的に再編されていく際にいかなる要因が作用するかを考えるうえで、第二次世界大戦期のヨーロッパは20世紀史における重要な事例である。これがどのような世界史的文脈に置かれているかを整理するために、本研究では近現代世界の諸地域における様々な類似現象との比較を進めたが、今後の研究の一層の進展のためにはさらに多くの事例との比較が不可欠となろう。
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