研究課題/領域番号 |
19700559
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用健康科学
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研究機関 | 国立循環器病センター(研究所) |
研究代表者 |
水野 正樹 国立循環器病センター, 循環動態機能部, 流動研究員 (60409711)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
3,660千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 360千円)
2008年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2007年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 運動処方と運動療法 / 運動療法 / 慢性心不全 / 自律神経 / 心拍数 / システム解析 / 伝達関数 |
研究概要 |
慢性心不全は、自律神経系の異常(交感神経の緊張、迷走神経の減弱)が病態を進行させる主要因である。そのため、治療戦略には自律神経異常の是正が有効である。しかしながら、現行の薬物治療では自律神経異常の是正が不可能であるため、治療原理の異なる非薬物療法、特に、運動療法が注目を集めている。運動療法は自律神経異常を是正し(交感神経の緊張の減弱、迷走神経活動の亢進)、慢性心不全への治療効果が期待されている、しかしながら、慢性心不全の治療戦略としての運動療法は臨床において本格的な実用に至っていない。その理由は、運動療法の効果が定性的であること、方法が画一的であること、安全性が担保されていないこと、作用機序が不明であることが考えられる。そこで、本研究はこれらの問題点を解決し、患者個人に適応した慢性心不全に対する安全な運動療法の本格的実用システムの開発を目的とした。本研究の根幹を担う長期間埋め込み型電極を用いた交感神経活動の記録が、実験手技の未成熟、およびハード面の未整備によって、計画当初想定外の困難を極めた(麻酔下、および短期間の交感神経活動記録には成功を収めた)。1ヶ月間にもおよぶ交感神経活動の慢性記録は、国内外をみても成功を収めている研究者は少なく、今後さらなる実験手技の向上、技術改良等が今後の検討課題となった。運動療法の作用機序の解明を目的として、病態および運動療法が心臓自律神経系に及ぼす影響について検討した。運動療法によって心拍数から推測される自律神経トーヌスは有意に変化し、交感神経の減弱、迷走神経の減弱が観察された。しかしながら、伝達関数を用いて評価した自律神経の電気刺激に対する心拍数応答に運動トレーニングによる変化は観察されなかった。また、慢性心不全モデルや高血圧モデル動物においても、神経刺激に対する心拍応答特性にも変化は認められなかった。これらの結果を総合的に解釈すると、運動療法によって生じる心拍変動の変化は、神経終末と心臓との間で生じている末梢側の適応ではなく、中枢性に神経活動が変容している可能性を示唆している。さらに、循環器疾患に観察される心拍変動からみた交感神経の緊張および迷走神経の減弱においても、末梢側(心臓)の神経活動に対する心拍応答の変容よりも、中枢性の神経活動の変化に起因している可能性を示唆するものである。運動療法がこれら病態モデル動物における心拍応答特性に及ぼす影響に関しては今後の検討課題である。
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