研究概要 |
代数体のイデアル類群に関する予想(Brumer予想)と整数環のK群に関する予想(Coates-Sinnott予想)の関係について考察した.技術的な仮定の下,Brumer予想から岩澤主予想を経由せずにCoates-Sinnott予想を導く方法について考察し,論文「A note on the Coates-Sinnott conjecture,Bulletin of the London Mathematical Society 41,613-620,2009」にまとめた.また論文「On some exact sequences in the theory of cyclotomic fields,Journal of Algebra 320,4156-4177,2008」では円分体の岩澤加群のプラスパートとマイナスパート両方に関係した,ある完全列の存在を証明した.さらにM.Kurihara,S.Mitchellによって得られていたp分体の整数環の高次K群の構造に関する予想をp冪分体に拡張した.さらに,有理数体またはp冪分体Lの整数環O_Lに対し,エタールコホモロジー群H^2(Spec(O_L[1/p]),Z_p(i))(i≧2)の位数の明示式を円単数またはガウス和を用いて与えた.この結果は,Quillen-Lichtenbaum予想を認めれば,整数環の偶数次K群の位数の明示式を与えたことになる.研究の後半では,技術的な仮定のもと,一般の有理数体上のアーベル拡大体,さらに楕円単数を用いることにより虚二次体上のアーベル拡大体においても考察した.
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