研究課題/領域番号 |
19H00560
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
嶋村 鉄也 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (80447987)
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研究分担者 |
大出 亜矢子 北里大学, 獣医学部, 助教 (00814203)
内藤 大輔 京都大学, 農学研究科, 助教 (30616016)
甲山 治 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (70402089)
杉元 宏行 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (70425742)
伊藤 雅之 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (70456820)
御田 成顕 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70800655)
久米 崇 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (80390714)
増田 和也 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 准教授 (90573733)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
45,890千円 (直接経費: 35,300千円、間接経費: 10,590千円)
2022年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
2021年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2020年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2019年度: 19,500千円 (直接経費: 15,000千円、間接経費: 4,500千円)
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キーワード | 熱帯泥炭 / 火災 / インドネシア / 火災耐性樹種 / 森林火災 / 森林ガバナンス / 泥炭の収縮 / 熱重量分析 / 熱帯泥炭湿地林 / 土壌の燃焼 / 土地荒廃 / 土地利用 / 熱帯泥炭の保水性 / 泥炭の燃焼 / 泥炭火災 / ハザードマップ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、火災により深刻な環境問題を引き起こしてきた熱帯泥炭湿地において、「なぜ火災が生じるのか?」という問題を、地域の独自性に着目して検証し、理解することである。既存の泥炭湿地の火災対策というものは、他地域での知見が無条件に適用されてきた。プランテーション開発・火入れなどが火災の原因とされているが、それらと無縁の場所も燃焼している。地下水位が高ければ火災リスクは低下するとされているが、地下水位が高くとも泥炭は燃焼する。本課題ではこれらの問題を多面的に検討し、その特殊性を考慮したハザードマップを作成し、それを泥炭地の特殊性を俯瞰的に理解可能とするツールにまで発展させる。
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研究実績の概要 |
熱帯泥炭は植物遺体が冠水条件下で未分解のまま体積した有機質土上である。熱帯では木本植物の遺体がその気質となっている。この泥炭土壌は可耕地へと展開する際に伐採や排水が行われる。この排水に伴い泥炭は乾燥し、火災に対して脆弱なものとなり、土壌が燃焼する火災を生じる。それに伴い、膨大な量の温室効果ガスの大気への放出や煙害などが生じ深刻な環境問題が生じている。本課題ではこの熱帯泥炭の火災が生じる原因を探るものである。 本調査期間中の大半はコロナ禍のためインドネシアが外国人の国内での研究活動を認めていなかったため海外調査を行うことが困難であった。そのため、熱帯泥炭の火災に対する脆弱性を調査する予備的な調査として愛媛県高縄半島で火災耐性樹種であるセンペルセコイヤ(高さ35m、胸高直径80cm)を伐採・採取してその火災耐性を調べ、今後の熱帯泥炭地の火災耐性樹種調査の予備調査とした。その結果、センペルセコイヤの外樹皮は内樹皮と比較して高さ6m程度までは20~30mmと厚さがあり、空隙が多いことが明らかになった。含水率・ポリフェノール濃度・リグニン濃度は高さに関わらず外樹皮・内樹皮でほぼ一定であった。これらの結果より、火災の影響を強く受けやすい下部では樹皮を厚くして火災耐性を高めていることが明らかとなった。 2023年3月にインドネシアに渡航し、現地の状況を確認した。その結果、現地において火災は3年ほど湿潤な気候が続いたため生じていないことが確認できた。また、地元民は漁労を通じた魚の動態などを観察し、2023年中には乾期が到来し火災が生じるという予測を立てていた。また、その予測にあわせて火災対策を講じる予定であると言っていた。このような住民の知識と対策についても詳細な記述をしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響が残っており、インドネシア国内での調査ができなかった状況で、本課題は多くの制約をうけている。また、現地では3年ほど継続して火災が生じておらず、それ自体は喜ばしいことであるが、火災に直接関わるデータを取得することはできていない。同様に、水位が高く熱帯泥炭のサンプルを入手することができなくなっている。大体的に北海道の泥炭を採取し予備的な調査を行っている状況である。ただし、状況は良くなってきており、インドネシアにおける外国人の調査受け入れは再開されている。ただし、その申請システムは以前のものと大幅に変わっており、どのような状況になるかは未定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後はインドネシアにおける調査許可を取得し、調査活動を再開する予定である。泥炭のサンプルを入手し、泥炭の物理性や燃焼特性に関わる調査を行う予定である。また、火災に関わる地元民の生業の解明や、住民から行政レベルまでの泥炭火災対策に関するデータを取得する予定である。
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