研究課題/領域番号 |
19H00588
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大森 裕浩 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (60251188)
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研究分担者 |
山内 雄太 名古屋大学, 経済学研究科, 講師 (00914160)
黒瀬 雄大 筑波大学, システム情報系, 助教 (20713910)
高橋 慎 法政大学, 経営学部, 教授 (20723852)
入江 薫 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 准教授 (20789169)
國濱 剛 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (40779716)
石原 庸博 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (60609072)
渡部 敏明 一橋大学, 経済研究所, 教授 (90254135)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,980千円 (直接経費: 34,600千円、間接経費: 10,380千円)
2023年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2022年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2021年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2020年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2019年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
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キーワード | 確率的ボラティリティ / 高次元データ / 実現ボラティリティ / マルコフ連鎖モンテカルロ法統 / 統計的リスク分析 / ベイズ統計学 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 / 確率的ボラティリティ変動モデル / リスク管理 / 高頻度データ / 潜在変数 / ランダム回答法 / 統計的リスク / ボラティリティ / ベイジアン・アプローチ |
研究開始時の研究の概要 |
金融データやマクロ経済データにおいては近年、高次元データモデリングの新たな展開が進んでおり、潜在変数やモデル・パラメータが急激に増えるため、最尤法などの従来の方法は実行が困難となっている。この問題を克服するために、ベイジアン・アプローチを採用してマルコフ連鎖モンテカルロ法などのシミュレーションを用いた高次元ボラティリティモデルの推定方法を開発し、多くの金融資産の組み合わせからなるポートフォリオの最適化やリスク管理、社会調査や医療データにも応用を行う。
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研究実績の概要 |
山内・大森は、ファクターを用いた確率的ボラティリティ変動(SV)モデルにおいて高頻度データの情報を用いることでパラメータおよび潜在変数の推定を安定化させる手法を提案した。また高橋・渡部・大森・山内は、金融資産の収益率とその変動を同時に定式化するRealized SV (RSV)モデルについて、裾が厚く左右非対称な3つの分布を収益率分布に用いた拡張を行なった。実証分析では、異なるクラスのモデルのボラティリティ予測の精度を比較し、拡張したRSVモデルの予測精度が他のモデルよりも優れていることを示した。黒瀬は、金融資産日次収益率の分散項の時間変動のモデリング、特にGARCHモデル等の収益率の分散項の時間変動モデルに日中価格レンジの情報を組み込む研究を行った。ベイジアン・アプローチによるモデル推定法を構築し、予測力に基づくモデル比較を含む実証分析も行い、モデルの有用性を確認した。國濱は、高次元多変量データに対して、一般的な統計手法に共変量と潜在的な因子変数を掛け合わせた項目を加えることで、その共分散が共変量の関数となるようなベイズ統計モデルを考案した。渡部は、日次実現ボラティリティと期待ショートフォール(ES)を用いてVaRとESを同時に予測するモデルとMCMCを用いたベイズ推定法を提案し、4か国の株価指数を用いてこのモデルの予測精度が高いことを示した。石原は、実現ボラティリティを用いた多変量SVモデルについて、観測できるファクターとその実現共分散を用いて、計算時間を短時間で行えるモデルとその推定方法を提案し、そのパフォーマンスを予測精度により調べた。入江は、ガンマ分布の形状パラメータの事後分布による効率的な推定方法を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者・分担者による査読付き論文は、過去4年間で、Journal of Business and Economic Statistics、Econometrics and Statistics (4論文)、Applied Stochastic Models in Business and Industry、Annals of Applied Statistics(2論文)、 Bayesian Analysis、Journal of Time Series Analysis、Finance Research Letters、 Japanese Journal of Statistics and Data Science (2論文)、Communication in Statistics-Simulation and Computation、「日本統計学会誌」(2論文)、「統計数理」などに順調に掲載が進んでいる。学会発表も2019・2020・2021年度統計関連学会連合大会, 2019・2020・2022年度国際ベイズ分析学会東アジア大会(ISBA-EAC, 国際学会), 2019~2022年度の計算・計量ファイナンス学会(CFE2019~2022国際学会)、2019・2021・2022年度の計量経済学・統計学国際会議(EcoSta2019、 EcoSta2021、 EcoSta2022国際会議), 2019~2022年ベイズ計量経済研究集会(オンライン形式で2021年はISBA EFab Sectionと共催、国際会議)、Bayesian Inference in Stochastic Processes 12 (BISP12、国際会議)など、国内外で積極的に行っている。また国際ベイズ分析学会東アジア大会・ベイズ計量経済研究集会においては、開催の主催も行っている。
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今後の研究の推進方策 |
大森は、確率的ボラティリティ変動(SV)モデルにおいて、経済構造の変化を考慮したローリング推定方法を、粒子マルコフ連鎖モンテカルロ法で効率的に行うための方法について開発する。渡部は、日中の資産価格のボラティリティ変動を表すモデルとして、日中リターンと日次実現ボラティリティを同時に定式化する新たなモデルを開発する。また、日次実現ボラティリティの変動を表すHeterogeneous autoregressive (HAR)モデルのパラメータと誤差分散を時変にする。高橋・山内・大森・渡部は昨年度に続き、金融資産の収益率とその変動を同時に定式化する実現SV (RSV)モデルを拡張し、収益率分布の裾の厚さや非対称性を考慮して、ボラティリティ予測や収益率の分位点予測のパフォーマンスが改善されるかを検証する。黒瀬は、金融資産の日次収益率の挙動を時間変動する分散項について、金融市場のミクロ構造により発生するノイズ等を考慮しつつ、日中価格レンジの情報を組み込んだモデルに拡張する。國濱は、共分散が共変量に依存するベイズ統計手法のさらなる発展を目指す。具体的に,共変量に対して追加的な統計モデリングを行うことで,分析に用いるすべての変数の同時分布を構築する。山内は、非対称性を導入したSVモデル間でパフォーマンスを比較するために、分布の裾のリスク評価の指標であるVaRおよびESに対するモデルの予測性能を実データ分析から検証する研究を行う。本研究はVaRおよびESの予測の評価に、VaRとESを同時に評価する損失関数を用いて、モデルのパフォーマンスを比較する。石原は、高次元SVモデルとその推定法について、に近年提案された一般化フィッシャー変換を用いた定式化を用いて提案する。入江は、カウントデータの異常値およびゼロ過剰性に対してロバストな手法の開発、および時空間データ分析への応用について研究する。
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