研究課題/領域番号 |
19H00735
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分18:材料力学、生産工学、設計工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉田 直彦 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70372406)
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研究分担者 |
柿沼 康弘 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70407146)
小池 綾 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (70781417)
河野 大輔 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80576504)
福井 類 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (80607416)
吉岡 勇人 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90361758)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,980千円 (直接経費: 34,600千円、間接経費: 10,380千円)
2023年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2022年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2021年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
2020年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2019年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
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キーワード | 工作機械 / 生産システム / ダイナミックケイパビリティ / フレキシブル / 生産ライン / AGV / モジュール型 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国産業がグローバル競争に伍して行くためには, 独自性の高いAI技術と我が国の強みであるものづくり技術との融合を行うことが重要である. しかしながら, 現在の工作機械の開発は, 未だに従来の設計手法の延長線 上にあり, 精度・能率の面で限界にきている. 本研究では, 1. 従来設計における性能限界を超える新たな工作機械設計法を提案し, 各機械要素の革新による新たな工作機械の創出を行うとともに, 2. 機械加工学の複雑な物理現象を解析できる機械学習手法の開発とこれを応用したプロセス安定化手法を, 世界に先駆けて研究する. 最終年度では, それらの統合を進め, フレキシブルな生産システムを実現する.
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研究実績の概要 |
マシニングセンタを代表とする工作機械は,工具の位置・姿勢を精密に操作し加工対象物(ワーク)に機械加工を施すことが要求される.その切削加工は精度の高い形状が得られる一方でワークを除去して成形する加工であり,材料のムダやエネルギー消費を考慮しなければならない.近年は,塑性加工や付加加工でニアネットシェイプを成形し,仕上げに切削加工を行う方向に進んでいる.特に大型のワークにおいて,効率的な加工方法が求められている.このような背景から,本研究では生産ラインをダイナミックに変更可能な工作機械および生産システムの可能性を探求してきた. 基礎学理として,革新的工作機械を実現するための, 新たな設計指針を構築している. 工作機械の全体, 各要素, 各部品にどの程度の仕様が必要なのかを工具, 被削材, 制御技術を考慮に入れて根本から検討し, 設計指針を構築する. 従来の研究では, 個別の要素に関する性能向上が多く, 要素相互のバランスを考えた研究はない. そこで,加工性能から系統的にバランスのとれた仕様とする. また, 変動するプロセスの安定稼働方法を提案し, 加工理論 やプロセス制御に基づいたアルゴリズムを世界に先駆けて開発している. これを応用することでプロセスが常に変動してしまう場合や, 従来の方法ではテストデータが十分でない場合でも, 加工プロセスを安定して稼働させることが可能となる. 具体的には, 切りくず状態の認識による連続運転,段取り時における工具や工作物の自動認識に基づく加工状態の判定方法を構築する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究成果の1つは, “Modularized-Structure and Multiple-points Simultaneous Machining System”(MS-cubic) と呼ばれる生産システムを提案したことである.工作機械や生産システムの機能を軌道モジュール,加工ユニット,計測ユニット,軌道横断モジュールとして容易に運搬可能なモジュールとして規格化し,それらを組み合わせることでワークサイズに応じて大きさを拡張可能とする.また,複数台のロボットが同時並行的に機械加工することを可能にするシステムである.軌道モジュールはシステム全体の支持構造であり,加工ユニットの足場となり水平方向の移動を実現する.加工ユニットは軌道モジュール上を移動し,ワークに対して作業を行う機能を有する.軌道横断モジュールは,加工ユニットを軌道モジュールが提供する移動方向とは直交する方向に移動し,加工ユニットが移動する軌道モジュール列の変更を実現する.計測ユニットは加工ユニットの位置・姿勢やワークの状態を計測し制御にフィードバックする機能を有する.ただし,計測ユニットは加工の振動の影響を最小化するために軌道構造とは独立した構造に配置している. もう一つの成果は,再構成可能な生産システムを提案したことである.Industry4.0においてダイナミック生産ラインに関する議論が進むなか,部品製造へ展開可能なIoT技術が見いだせていない.本研究では,工作機械に応じた加工アシストモジュールの開発による生産ラインのダイナミックな変更を検討した.自走ロボットを導入することよってライン寸断や設備故障が生じてもロボットアシストと動的ライン変更により生産活動を維持できる仕組みを実現する.生産現場のダイナミックケイパビリティ強化に繋がることを検討した.
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今後の研究の推進方策 |
モジュール式の工作機械システムでは,工作機械の設計論として確立できるように進める.そのために,レーザー変位計を用いて微小変位を高分解能で測定し,モジュール間の相対位置誤差について検証を深める.また,計測ユニットによる工具先端位置のフィードバックによる精度向上を図る.計測ユニットによって,工具先端位置の絶対位置決め誤差やたわみ量 の補正等を行い,剛性や構造の変形量との関係を明らかにする. 再構成可能な生産システムでは,工程計画の最適化およびダイナミックレイアウトプランニングを行う.経済性,工具コスト,加工時間などのパラメータから最適化問題を解くことで,自律的な工程計画を可能とする.また,得られた工程計画の 結果をもとにダイナミックに生産ラインのレイアウトを設計する.
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