研究課題/領域番号 |
19H01356
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
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研究機関 | 琉球大学 (2023) 金沢大学 (2019-2022) |
研究代表者 |
佐藤 丈寛 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10558026)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2019年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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キーワード | 古代ゲノム / 古人骨 / 集団遺伝学 |
研究開始時の研究の概要 |
東アジアとシベリアの境界領域の東端にあたる北海道北部とサハリンでは、日本列島に由来する縄文系の文化が栄えた時期、東シベリアに起源をもつとされるオホーツク文化が栄えた 時期、そしてそれらの文化が混交した時期があることが考古学的研究により示唆されている。本研究では、古人骨のゲノム解析によって当該領域における人類集団の 変遷を解明することを目的とする。特に、シベリアに起源をもつと考えられるオホーツク文化人が在来の縄文系集団と混血していった過程をゲノムデータから明らかにするとともに、これまで一括りにされてきた「オホーツク文化人」が単一の起源をもつ集団なのかについて検証する。
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研究成果の概要 |
礼文島出土のオホーツク文化後期人骨(NAT002)のゲノムデータは、この個体が縄文系統、カムチャツカ系統、アムール系統の混血個体であることを示唆した。アムール系統の北日本への移住は約1,600年前であることが示唆され、これは北海道でのオホーツク文化成立に関する考古学的証拠と一致する。また、カムチャツカ系統は約2,000年前に北日本へ移住したことが示唆された。さらに、オホーツク文化初期人骨(NAT004)のゲノムは縄文系統とカムチャツカ系統の混血個体として説明可能であった。この発見は、NAT002ゲノムによって示唆された縄文系とカムチャツカ系との混血集団の存在を示す直接的な証拠となりうる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、従来より指摘されていた5世紀頃のアムール川下流域から北海道へのヒトの移住が裏付けられたことに加え、これまであまり指摘されてこなかった続縄文時代に相当する時期のカムチャツカ半島から北海道への移住を示唆する結果が得られた。これまで、考古学的には続縄文時代にカムチャツカ半島から北海道への移住を支持する明確な証拠は無いとされてきたが、本研究の結果は、従来の北海道考古学の研究結果について再考を促す材料のひとつとなり得る。今後、カムチャツカ半島から北海道への移住があったという前提で考古遺物を再検討すれば、考古学においても新たな発見があるかもしれない。
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