研究課題/領域番号 |
19H01470
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
清水 和巳 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (20308133)
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研究分担者 |
上條 良夫 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (40453972)
大薗 博記 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (50709467)
後藤 晶 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任講師 (80707886)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2019年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 所得格差 / 実験経済学 / オンライン実験 / 公平性 / 投資ゲーム / ラボ実験 |
研究開始時の研究の概要 |
ここ数十年来,世界的に見て,国家間,国内での所得格差は拡大してきている.社会に大きな 影響を及ぼしうる所得格差のダイナミクス-発生・拡大・縮小-をミクロレベルから説明する理論モデルは管見ながら非常に少なく,そのモデルに基づいた実証研究はほとんどない. 本研究の目的は,所得格差のダイナミクスを,標準的な経済理論のみならず社会心理学・行動経済学の知見を応用しつつ,個人内・個人間・世代間過程としてミクロレベルから明らかにすることである.この研究を推進することができれば重要な社会経済現象の実証研究に資するだけではなく,社会を安定化し,効率的な経済を構築することにも役立つと思われる.
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研究実績の概要 |
本年度は,所得格差が拡大・縮小される可能性について,2回にわたるオンライン実験を1000人規模で行った. 仮説としては,第一に,資源格差をもたらす要因が,運によるか実力によるかによって格差が縮小するかもしれない.運による場合,実力による場合より,富裕者に不平等回避の感情が働きやすく,貧者への資源提供が増加する可能性がある(Nax et al 2018).実験的に,資源格差が完全にランダムに決定される場合と,リアルエフォートゲーム(Gill & Prowse, 2012)等の成果に応じて資源格差を生じさせる場合を作り出し,運か実力かを操作する.第二に,間接互恵性(Nowak & Sigmund, 1998)による評判の影響を考察する.富裕者から貧者への資源提供は「恵まれない他者への施し」として富裕者の評判を高め,長期的には資源提供者の利益を高める可能性がある.自由マッチング状況で,資源提供の情報が共有される場合,富裕者は評判獲得のために,貧者への提供を行いやすく,格差の拡大は抑えられ,縮小する可能性がある. このように,個人間インタラクションに着目し,格差の拡大とその縮小に導く要因を検討した結果,やはり,運による資源を得た場合は,より平等な資源再配分を行う傾向がみられた. この研究成果を英文論文にまとめ,European Economic Reviewに "DYNAMISM OF INVESTMENT: WEALTH VISIBILITY LEADS TO A TRADE-OFF BETWEEN SOCIAL MOBILITY AND WEALTH SATISFACTION"として投稿し,現在,査読中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナの影響下にはまだあったものの,オンライン実験をO-Treeを駆使することにより実施できた.ただ,オンライン実験をする他の研究者が増大したことから,参加者プールが枯渇気味なるというこのコロナ期特有の問題が若干の障害となった.
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今後の研究の推進方策 |
本年度まで計画順調に進んでいるので,これからも計画通り進めていくことにする. コロナの影響が少なくなってきているので,オンライン実験にくわえてラボ実験を並行して実施していくこと考えている.
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