研究課題/領域番号 |
19H01674
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
橋爪 一治 島根大学, 学術研究院教育学系, 教授 (70709740)
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研究分担者 |
伊賀崎 伴彦 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (70315282)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2019年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
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キーワード | 技能指導 / 木材加工 / 巧緻性 / 手工具 / 技能訓練 / 木材切断技能 / 仮想現実 / 感覚統合 / VR |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,日本の伝統的な木造建築技術等を支えてきた一流の職人の技をVR技術等で再現し,その再現情報をもとに誰もが,一定期間に巧緻な木材加工技能を確実に身につけることができる技能訓練法の確立を目的とする。 このため,一流の職人の技を映像や力覚デバイス等で記録する。この記録から,VR等の技術を用い,巧緻技能を体験できる出力情報へ変換する。さらに,この感覚を用いて,あたかも学習者が熟練者に成り代わって巧緻な技を振るっているかのような体験をさせ,熟練者の木材加工時の作業動作は「どこを見て,どんなリズムで,体のどこにどれくらいの力を入れて行っているのか」などの巧緻動作を学習者に理解させる指導法を確立する。
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研究実績の概要 |
本研究は,「誰もが,一定期間に巧緻な木材加工技能を確実に身につける」ため,学習者に「巧緻な技を自身が行っている仮想体験」をさせ,経験による技能習得を目指すことである。この目的を達成するため,日本の伝統的な木造建築技術等を支えてきた一流の職人の巧緻技能の感覚(視覚や力覚,触覚等)を360度映像や力覚デバイス等で記録し,記録した巧緻技能を,構築したシステムで再現する。そして,この再現した巧緻技能を学習者に提供する。これは,学習者側からみれば,巧緻な技能者から手を引かれながら同時に説明を受けながら巧緻技能を体験することに相当する。 このことにより,自身の手をあたかも自分自身が熟練者に成り代わって熟練の技を振るっているかのような体験が得られる。この通常では得られるはずのない巧緻技能の感覚を,体験することによって習得させるよう計画している。このように,本研究が目指すのは,最新機器を用いた,これまで実現できなかった全く新しい教育方法の開発である。 このため,力覚デバイスを導入するなどして,学習者に伝達し,あたかも自分自身が熟練者に成り代わって熟練の技を振るっているかのような体験をさせるシステムの構築を終えた。 また,従来の指導法で,学習者が訓練期間とともに,どのように巧緻性が向上するのかを検討する必要があった。そこで,本指導によらずに,通常的に工業高校で木材加工技能習得中の生徒に対し,第1学年のはじめから第3年の後半にかけて長期の調査を実施し,技能が発達する状況を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
力覚を再現させるシステム開発が課題であったが,ハード面では,本研究費により,力覚デバイスの導入が完了した。力覚デバイスは,汎用性の高い装置であるため,木材加工に使用するための,治具の開発が不可欠である。すでに,力覚デバイスへの接続が完了した。さらに,木材加工の巧緻技能を記憶し,力覚デバイスが再現するよう,システムとして稼働させるためのプログラムを行う必要があるが,すでにこちらも完了した。つまり,学習者に対し,あたかも自分自身が熟練者に成り代わって熟練の技を振るっているかのような体験をさせるシステムの構築が完了した。 加えて,従来の指導法で,学習者が訓練期間とともに,どのように巧緻性が向上するのかを検討する必要がある。また,熟練者と初学者では,技能歴の違いによって,巧緻性がどのように異なるのかを検討する必要がある。これらの課題に関連し,加速度・角速度センサーを用て,鋸引きの押し引き技能や腕の動作を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
実際に感覚統合システムの運用開始を目指したシステム構成を行う。これには,はじめから感覚統合システムが最適に機能・成立しているとは考えにくいため,システムを運用しながら,なるべく学習効果が高まるよう改良を行う。 従来型の指導方法との技能向上状況の差を明らかにする。つまり,本研究が目指す指導法の優位性を検討し,研究の完成をみる。
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