研究課題/領域番号 |
19H01758
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
柴山 真琴 大妻女子大学, 家政学部, 教授 (40350566)
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研究分担者 |
高橋 登 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00188038)
ビアルケ 千咲 大妻女子大学, 人間生活文化研究所, 研究員 (70407188)
池上 摩希子 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 教授 (80409721)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,770千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 3,870千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 日系国際児 / 日本語作文力 / 継承語としての日本語 / 二言語同時習得 / バイリテラシー |
研究開始時の研究の概要 |
平日は現地校に通い週末に補習校で日本語を学習する児童が、日本語で書く力(作文力)を習得することは容易ではなく、補習校教育の重要な課題になっているが、補習校通学児の作文力の発達過程は明らかになっていない。本研究では、現地語(優勢言語)が異なる国際児(①ドイツ語を優勢言語とする独日国際児、②中国語を優勢言語とする台日国際児)を対象に、3時点(小2→小4→小6)での縦断的作文調査を行い、二言語の同時習得が日本語作文力の形成に及ぼす一般的な影響と、優勢言語や現地校の作文教育による固有の影響を解明する。これにより優勢言語によって伸びにくい側面を予測でき、補習校の作文指導改善に役立つ知見を提供できる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、現地語(優勢言語)が異なる国際結婚家族の子どもを対象に、3時点(小2→小4→小6)での縦断的作文調査を行うことにより、継承語(日本語)作文力の発達過程の特徴-「二言語の同時習得が日本語作文力の形成に及ぼす一般的な影響」と「優勢言語や現地校の作文教育による固有の影響」-を解明することである。具体的な課題は、以下の通り。【課題1】ドイツ語を優勢言語とする独日国際児の日本語作文力の発達過程を解明すること。【課題2】中国語(繁体字)と優勢言語とする台日国際児の日本語作文力の発達過程を解明すること。【課題3】台日国際児の日本語作文力の発達過程の特徴と家庭での支援過程との関連を把握するために、台日国際家族における支援過程を具体的に明らかにすること。 上記課題を明らかにするために、4年目である2022年度は、以下の3つの調査・研究を行った。 (1)【課題1】と【課題2】に関わる調査・研究:2021年度に実施した【調査1】の第2回調査と【調査2】の第2回調査で得た作文データの分析を行った。優勢言語が異なる継承語児が同じ課題で書いた作文データは、これまで収集されていないことから、データとしての価値がきわめて高い。各調査の分析結果については、各校に分析レポートとしてフィードバックした。また、【調査1】の関連調査として、6年間にわたって実施した縦断的作文調査で得た独日国際児の作文データの分析を行い、調査報告としてまとめた。 (2)【課題3】に関わる調査・研究:【調査3】の4年次調査を行い、年度末までに対象家族において収集された行動観察データの整理を行った。 (3) コロナ禍の改善により、2021年度に予定していた台湾でのフィールド調査を実施し、台日国際児の日本語習得状況や日本語学習環境に関するデータを得ることができた。さらに対象家族の母親・父親・対象児へのインタビュー調査も対面で実施することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記した3つの調査・研究と対応させると以下の通りである。 〇【課題1】と【課題2】に関わる調査・研究:当初の計画通り、4年目の2022年度は、前年度に収集した独日国際児と台日国際児の作文データの一次的分析を進めることができた。分析結果については、当初の予定通り、各校に分析レポートとしてフィードバックすることができた。また、【課題1】の関連調査として、独日国際児を対象に2020年度までに実施した縦断的作文調査の分析結果(小4から高1までの縦断的分析の結果)を調査報告としてまとめることができた(『人間生活文化研究』に投稿し掲載された)。 〇【課題3】に関わる調査・研究:当初の予定通り、台日国際家族を対象に進めている行動観察調査の4年次調査を行うことができた。また、対象家族のうち「小学校中学年から高学年に進級する子どもがいる家族」の母親・父親・対象児へのインタビュー調査を行うことにより、今後、観察記録を分析する際に観察記録の内容のより深い理解を助ける有益な情報を得ることができた。 他方で、2022年度に予定していたドイツでのフィールド調査については、フィールド側の事情により、実施することができなかった。 以上の理由から、「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である次年度は、以下の3点を中心に進めていく予定である。 (1)【課題1】と【課題2】に関わる調査・研究:1)独日国際児の縦断的作文調査の第3回調査の実施。在ドイツ日本語補習授業校(A校)に通う小学部6年生を対象に、2種類の作文課題(「物語文課題」と「説明文課題」)を実施する。2)台日国際児の縦断的作文調査の第3回調査の実施。在台湾日本語補習授業校(TE校・TH校ほか)に通う小学部6年生と中学部2年生を対象に、2種類の作文課題(「物語文課題」と「説明文課題」)を実施する。いずれも各校を訪問して作文調査を実施する。3)独日国際児と台日国際児の作文データの縦断的比較分析。それぞれ小2・小4・小6の3時点で収集した作文データの縦断的分析を行うと共に、独日国際児と台日国際児の比較分析も進め、その結果を「調査報告」としてまとめる。 (2)【課題3】に関わる調査・研究:1)台日国際家族の事例研究の5年次調査の実施。2)対象家族(「幼稚園から小学校中学年に進級する子どもがいる家族」)への対面でのインタビュー調査の実施。対面でのインタビュー調査が困難な場合には、対応策として、オンラインでのインタビュー調査に切り替えて対応する。 (3)併せて、作文データの分析に必要な研究資料を得るために、授業場面で発揮される児童の日本語力(口頭発表力、読み書き力)、授業外の場面(休み時間など)での児童の日本語使用状況や学校外での日本語経験(日本語の流通度や使用機会、日本語資源の入手状況など)を把握するためのフィールド調査も行う。ただし、海外渡航が困難な場合には、対応策として、作文調査のみ代行実施を依頼し、フィールド調査については、海外渡航が可能になった時点でデータの追加収集ができるよう調整する。
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