研究課題/領域番号 |
19H01797
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮本 安人 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (90374743)
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研究分担者 |
内藤 雄基 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (10231458)
生駒 典久 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (50728342)
石毛 和弘 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (90272020)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2019年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 優臨界楕円型方程式 / 臨界楕円型方程式 / 放物型方程式 / 変分的手法 / モース指数 / 球対称解 / ジョセフ・ルンドグレン指数 / 擬スケール / 非線形楕円型方程式 / 非線形放物型方程式 / 優臨界 / 臨界 / 劣臨界 / 特異解 / 変分問題 / 時間局所可解性 / 変分法 / 劣臨界楕円型方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
楕円型方程式の一つの研究分野として,一つのパラメータλを持つ非線型楕円型偏微分方程式を考え,「λの値の応じて解の個数や性質などがどのように変化するのか?」を考える問題がある.この問題は,純粋数学,物理学,化学,生物学のモデル方程式などの分野に現れる基本的な問題の一つである.関数空間とλの直積空間上に解集合(分岐図式)を描くことが大きな目的である.本研究では非線形項の増大度を,臨界ソボレフ指数と比べることによって,3つの場合(優臨界・臨界・劣臨界)に分けて,分岐図式を解明することを目標とする.
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研究実績の概要 |
(1)[臨界楕円型方程式] 今年度の一番大きな成果は,臨界楕円型方程式の研究であった.具体的な問題は次のとおりである.3次元以上の円環領域における臨界楕円型方程式(Henon方程式)のディリクレ問題の(符号変化解を含む)任意の球対称解を考える.まず,球領域の場合は,Pohozaevの恒等式より正値解が存在しないことが知られている.一方,円環領域の場合は正値解が存在するので,円環の内側の半径を0にする極限が興味深い問題となる.そこで,(正値解に限らない)任意の球対称解のモース指数が,内側の半径を0にする極限でどのようになるかを考察した.この問題のパラメータは,空間次元,方程式の指数,円環の内側と外側の半径,符号変化解の結節領域の数があるが,主結果はこれらのパラメータを用いて極限における解のモース指数を完全に決定した.また,極限を取らない場合(一般の円環領域の場合)は,モース指数の上からと下からの評価を得た.さらに,正値解の場合は,(極限を取らなくても)任意の円環領域でモース指数を決定した.この方面の研究はイタリアのグループが精力的に進めているが,これまで劣臨界の問題が多く扱われ臨界の場合は知られていなかった. (2)[劣臨界楕円型方程式] 円環領域における劣臨界楕円型方程式の球対称解のモース指数に関して,実現可能性が高い研究テーマを発見した. (3)[放物型方程式] 指数関数より大きい増大度を持つ放物型方程式の全領域における初期値問題を考える.非線形項に関する適当な仮定の下で正値特異球対称解を持つが,初期関数がこの正値特異球対称解より大きいか小さいかに応じて,放物型方程式の可解性が異なることを示すことが目標である.このうち,解の存在に関して証明が成功した.今後は非存在の証明を目標とする.そして,特異解が可解性の閾値となっていることを証明したい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」の(1)で述べた臨界楕円型方程式のモース指数の研究は大きな進展があった.去年度に計画した研究が順調に進み成果が得られた.その成果を論文にまとめ数学専門誌に投稿した.また,それに関連して「研究実績の概要」の(2)で述べたとおり実現可能性が高い新たな研究テーマを発見したことは大きかった.それは,広がっていく円環領域上定義された楕円型方程式に対して球対称解(複数のレイヤーを持つ解や複数の球面上で凝集する解など)からなる滑らかな枝が存在し,それにそってモース指数の漸近公式を確立するというテーマである.また,去年度に計画した非球対称解に関する研究については全く進展がなかった. 一方,本研究課題の中心テーマである優臨界楕円型方程式の研究に関しては,ほとんど進展がなかった.また,放物型方程式の研究は少し進展したものの,部分的な成果を得るにとどまった.これらを総合して「やや遅れている。」とした.
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今後の研究の推進方策 |
(1)[優臨界楕円型方程式] まず,本研究課題の一番大きなテーマである優臨界楕円型方程式の解構造の研究について,既に,得られている成果を論文にまとめ投稿することが最初の目標である.それ加えて,新しいテーマや新しい数理現象を発見するなど新たな展開を模索する. (2)[劣臨界楕円型方程式] 「研究実績の概要」の(2)で述べた劣臨界楕円型方程式の新たな研究テーマを追求し,今年度内に成果を得て論文執筆と完成にまで漕ぎ着けることが目標である.また,新たな研究テーマを模索する. (3)[臨界楕円型方程式] 臨界楕円型方程式に関しては,新たな研究テーマを発見することが目標である. ここまで,(1)--(3)の楕円型方程式の研究において,いずれも球対称解に関する研究だった.非球対称解についても詳しい性質が解明できないか模索していきたい. (4)[放物型方程式] 「研究実績の概要」の(3)で述べた放物型方程式に関する研究で残されている課題を証明し,研究を完成させ論文執筆し投稿することが目標である.
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