研究課題/領域番号 |
19H01997
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山崎 俊嗣 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (80344125)
|
研究分担者 |
山本 裕二 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 教授 (00452699)
臼井 洋一 金沢大学, 地球社会基盤学系, 准教授 (20609862)
中村 教博 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (80302248)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2019年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
|
キーワード | 古地磁気学 / 岩石磁気学 / 還元続成作用 / 珪酸塩包有磁性鉱物 / 古地磁気強度 / 古地磁気 / 岩石磁気 / 還元続成 / 海底堆積物 / 初期続成過程 / 初期続成作用 / 生物源磁鉄鉱 / 酸化還元境界 |
研究開始時の研究の概要 |
海底堆積物では鉄還元境界以深では磁性鉱物の溶解が起きるため、還元環境の堆積物は過去の地磁気変動復元の研究の対象外とされてきた。一方、珪酸塩鉱物中に包有された磁性鉱物の存在が最近注目され、これらはホスト鉱物の保護により溶解を免れるため、古地磁気記録を担い得ると考えられる。本研究は、還元環境の堆積物においても磁性鉱物包有物が相対古地磁気強度の情報を保持している可能性を、ピストンコアとIODP掘削コアを用いて検証することを目的とする。成功すれば、堆積速度が大きい故に海底下浅部で鉄還元境界に達し磁性鉱物の溶解が起きている堆積物から、高解像度の、また古い時代の古地磁気強度変動を求めることが可能となる。
|
研究実績の概要 |
西部赤道太平洋のオントン・ジャワ海台で採取された海底堆積物コアについて、岩石磁気分析と珪酸塩(石英・斜長石)に包有される磁性鉱物の抽出実験を行った。このコアでは、磁性鉱物の還元溶解が深度約6m以深で起きていて磁化強度が急減するが、古地磁気記録は保存されていることが判明している。還元溶解を受けた層準では、飽和等温残留磁化の約50%を珪酸塩包有磁性鉱物が担っているのに対し、還元溶解を受けていない層準では珪酸塩包有磁性鉱物の寄与は10%程度である。磁性鉱物の還元溶解により、走磁性バクテリア起源の磁鉄鉱や単体で存在する磁性鉱物は失われ、珪酸塩包有磁性鉱物が古地磁気記録の重要な担い手となり得ることが明らかとなった。また、堆積物の起源として風成塵が重要と考えられる北大西洋中部の海底堆積物コアについても同様の分析を行った。この海域の堆積物では、磁性鉱物の還元溶解は起きていないと考えられている。珪酸塩包有磁性鉱物が担う磁化の割合は10%程度であり、風成塵起源の磁性鉱物の多くは包有物ではなく単体として存在していると推定される。 南大洋から採取された還元環境の堆積物コアについて、古地磁気方位及び相対古地磁気強度の推定を進めた。これらのコアは過去数万年間の古地磁気永年変動を記録していると考えられる結果が得られた。これらの堆積物では、磁性鉱物の還元溶解は起きていないと推定される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
還元溶解を受けた堆積物において、飽和等温残留磁化の約50%を珪酸塩包有磁性鉱物が担っていることを世界で初めて明らかしたことは、本研究の目的に照らして大きな進展と考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
磁性鉱物の還元溶解が起きている堆積物において、飽和等温残留磁化の50%を珪酸塩包有磁性鉱物が担うことが明らかとなったので、残り半分の磁化は何が担っているのかを明らかにする。また、珪酸塩包有磁性鉱物の粒度分析を行い、飽和等温残留磁化の値とあわせて、これらの堆積残留磁化獲得効率を推定する。
|