研究課題/領域番号 |
19H02100
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
星野 隆行 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (00516049)
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研究分担者 |
川村 隆三 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50534591)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2019年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 電子線 / バーチャル電極 / 分子操作 / キネシン-微小管 / 分子運動制御 / 微小管 / キネシン / 電気泳動堆積 / 分子モーター / 微小電場形成 / 脂質膜 / 電気二重層 / ハイパス特性 / dsDNA / たんぱく質分子モーター / 分子機械 / 超解像AR / 電場形成 / バーチャル電極走査型電気化学顕微鏡 / VC-SECM / nanomachinary / プロジェクションマッピング / 分子スケールMR/AR / ラピッドプロトタイピング / 微小管-キネシン |
研究開始時の研究の概要 |
バイオ環境(電解質水溶液)中のクーロンポテンシャルのプロジェクションをナノメートル分解能および高速に行うことを原理とした「分子機械のラピッド・プロトタイピング」(設計技術の基盤研究)と,「分子機械の知能化」を目指した応用研究の2つの構成からなる. 構築するバーチャル電極ディスプレイは,狙った分子近傍の電場を120 nm以下の空間分解能で1分子当たり10 nsの高速に任意に操作する.この超高速ディスプレイを用いて,分子モーター,DNA構造体など分子機械の機能化を,その場で上書きし,分子機能をラピッドプロトタイピングする設計論を目指すものである.
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研究実績の概要 |
本研究は,電子線の電気的な性質を用い,誘電体膜であるSiN薄膜の裏面から電子線を照射して,動的な電極パターンを呈示する技術(バーチャル電極ディスプレイ)を基盤としている.呈示されたバーチャル電極パターンにより,SiN薄膜上には静電力を起源とした力場を発生させることができる(フォースディスプレイ).これにより,任意の位置にいる分子やナノ粒子を自在に制御することをが研究の目的である. 本年度においては,以下の2点の成果が得られた.1)電気泳動堆積は,溶液中のナノ粒子のゼータ電位と外部電場の間に生じる泳動力を利用して,ナノ粒子を堆積・積層させるものである.本課題では,外部電場としてバーチャル電極により,局所的に堆積させ,電場を走査することで,二次元のパターンを形成することに成功した.堆積させるナノ粒子として,ポリスチレン球と酸化グラフェンを用い,ゼータ電位を正に調整することにより,電場パターンに堆積することを確認した.このとき,ナノ粒子の挙動は,ナノ粒子の断面積の違いによる流体抗力のはたらきに関係していることが示唆され,2次元材料である酸化グラフェンではより呈示位置中心に堆積されやすい傾向がみられた.2)バーチャル電極の界面近傍の効果は,デバイ遮蔽を積極的に利用することで,運動しているタンパク質分子モーターの一部分だけに作用を限定でき,ディスプレイ面上を滑走中のキネシンー微小管のうち,キネシン分子のみを止め,直上の微小管には影響を与えない界面近傍限定の分子制御が可能であることが分かった. これらの成果や,これまで取り組んできた人工脂質膜の流動性を制御しパターンを可逆的に描画・形成する研究成果に関して研究発表や論文化することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タンパク質分子モーターの界面近傍限定制御や,ナノ粒子の集積・堆積・パターニングなどの実験的な成果により,バーチャル電極ディスプレイが分子運動に与える効果をより詳しく明らかにすることができた.これらの成果により,今後取り組む分子運動制御による分子機械の構築などのアプリケーションの設計が可能になると考えられる.また,これらのメカニズムを論文化と学術講演会での発表等へつなげることができた.
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今後の研究の推進方策 |
酸化グラフェンや分子モーターを利用した知能機械への発展へ向けて,以下の点に取り組む予定である.1)自在な分子パターンの形成システムの構築,2)分子パターン形成の精度を決定する因子の特定と制御,3)動的な分子制御,である.これまで,バーチャル電極のパターンを自在に制御するシステムは構築してきたが,制御標的となる分子・ナノ粒子の運動や形成パターンを自在に制御するためには,電極位置の制御だけではなく,形成される力場とそれにより誘発される流体現象や分子応答の空間的広がり,過渡応答を加味した設計システムの構築が必要である.今後はこれらの観点から,動的にナノ粒子や分子を機械として設計・動作させるためのインタフェースに関する課題に取り組む.
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