研究課題/領域番号 |
19H02591
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
谷中 淳 筑波大学, 数理物質系, 客員准教授 (80400638)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2019年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
|
キーワード | ナノ顕微技術 / 生体計測 / ラマン分光 / ナノプローブ / ガン細胞の特性 / がん細胞の特性 / 生体測定 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、従来の治療に比べて非侵襲的で副作用の少ない、物理的な外場をガン細胞に印加することで壊死を導く方法が実証されつつある。しかし、どのように壊死に至るかという一連のメカニズムやプロセスが未解明であり、ガン治療のブレイクスルーには至っていない。そこで、細胞表面をナノレベルで観察可能で、弾性率を測定可能な原子間力顕微鏡と、無染色で細胞内分子の同定や化学変化を追跡できる近赤外励起ラマン分光を組み合わせた複合型顕微鏡を開発し、局所弾性率と探針増強ラマン分光による局所化学変化を同時に測定する。この手法によって一連の細胞死のプロセスを解明し、ガン治療法のブレイクスルーを目指す。
|
研究成果の概要 |
シングルビーム誘導ラマン分光の開発を行い、液晶偏光子を組み込み、金を蒸着したガラスピペットにグルタチオンを滴下した試料で、著しいピーク強度の上昇が観察された。これにより探針増強赤外励起ラマン分光を実証した。スーパーコンティニウムレーザーを組み合わせ、低波数帯域の測定に有効なマルチプレックスコヒーレント・アンチストークスラマン散乱顕微鏡を開発した。これにより、硫黄結晶の相転移の空間変化と準安定状態を可視化した。 光線力学療法を施したガン細胞に対して原子間力顕微鏡を用いた局所弾性率測定を行い、弾性率の増加からアクチンフィラメントの状態を観察することで、細胞内機序の観察が可能になった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
開発した近赤外増強ラマンナノプローブ法をさらに発展させれば、生体内において低波数振動を持つタンパク質や高分子のミクロ特性評価を進めることが可能になり、蛍光観察を行うことで細胞内基質にダメージを与えるような場合や活性酸素が蛍光プローブを失活させてしまうような実験に対して最適な手法の一つであり、アクチンフィラメントの定量や、測定が難しい細胞中の活性酸素量、および細胞が受けているストレスを弾性率の増加から見積もることが可能である。今後の展開において重要な役割を担うことが期待される。
|