研究課題/領域番号 |
19H02645
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡本 孝司 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (80204030)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2021年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2020年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2019年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | 限界熱流束 / 伝熱劣化 / 照射効果 / 原子力安全 / 放射線 / 熱流動 / 電子線照射 / Critical Heat Flux / In-vessel Retension / Radiation Effects |
研究開始時の研究の概要 |
放射線を照射した伝熱面で、伝熱劣化現象が発生しうることが実験的に確認された。放射線にさらされている、原子炉炉内において、この現象が発生すると、原子炉が事故時に想定よりも早く溶融することや、より早期に放射性物質が環境に放出されることにつながる。原子力発電所の安全性の根幹を揺るがす可能性がある。このため、その伝熱劣化現象が発生する条件を明確化するとともに、その対策を取るために研究を進める。具体的には、実験によって、伝熱劣化現象を評価するとともに、そのメカニズムを明らかにすることで、原子力発電所の安全性を高める研究である。
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研究成果の概要 |
放射線を照射した伝熱面で、伝熱劣化現象が発生しうること が実験的に確認された。実験は、ガンマ線または電子線照射した銀伝熱面、アルミ伝熱面、炭素鋼伝熱面を中心として、表面の沸騰現象がどのように変化するかを伝熱実験及び画像解析によって評価した。本現象は、特に沸騰気泡と伝熱面の関係が重要であることを見出し、核沸騰状態を維持するための液膜の挙動に着目した。照射による表面の微細構造の状態変化が、沸騰核の生成を促し、沸騰気泡が伝熱面を覆いやすくなる。結果として微細な変化がマクロ伝熱に影響していると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
材料表面の酸化被膜の性状により、放射線照射による伝熱性能が影響を受けることを明らかとした。特に、銀やアルミにおいては、酸化被膜に電子線またはガンマ線が照射されると、ミクロな沸騰核に影響を及ぼし、結果として沸騰伝熱に影響を与えることが明らかとなった。特に限界熱流束など、安全性に影響のある伝熱性能においては、放射線によるミクロな酸化被膜の状態変化が、マクロな沸騰現象に影響を与えることを明らかとした。伝熱劣化は炭素鋼では観測されず、実機においては安全性には大きな影響を与えない可能性がある。
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