研究課題
基盤研究(B)
生体内には,数千種類を超える酵素が存在するが,いまだ疾患との関わりの理解が得られていない酵素は多く,これらは,未来の創薬標的,バイオマーカー候補としてその機能解明が待たれている.本研究では,酵素の活性を直接的に可視化することのできるケミカルバイオロジーの方法論に基づき,生体サンプル中の酵素活性を網羅的に評価する「enzymomics(enzymeのomics)」の技術開発をおこない,新たな創薬標的,バイオマーカー探索をおこなう技術基盤としてこれを確立することを目指す.
本研究では,これまで申請者が確立してきた酵素活性の網羅的解析法であるenzymomicsの方法論を用いて種々の疾患関連タンパク質を見出す応用研究を展開すると同時に,これを支える基盤技術として,特にタンパク質の翻訳後修飾を担う各種酵素群の活性検出を指向した新たな蛍光プローブライブラリの開発による「網羅性」の向上と,マイクロデバイスを用いた活性検出の仕組みを用いたバイオマーカー酵素活性検出の仕組みによる「感度」の向上の2点について技術開発をおこなう.これらの系を合わせることで,申請者が提唱した「enzymomics」の手法を真に実用的な技術として確立することを本研究期間中に達成した.
本研究を通じて,enzymomics の高度化に繋がる研究成果を,J. Am. Chem. Soc. 誌,Science Advances 誌,Cell Reports 誌などに発表し,分野の発展に努めた.特に,これを利用した疾患診断技術の重要性は世界的にも認知され,activity-based diagnosis という診断技術の意義が提唱されるに至っている.申請者らの研究は,その重要性の認知に先駆けて網羅性,感度を高めた形で実現しており,世界をリードする研究成果を継続的に発表できる基盤が整ったと言える.
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 1件、 招待講演 14件) 図書 (3件) 産業財産権 (1件)
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