研究課題/領域番号 |
19H02861
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38010:植物栄養学および土壌学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
齋藤 勝晴 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (40444244)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2020年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2019年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 菌根 / 共生 / 脂質 / 脂肪酸 / ミヤコグサ / ミリスチン酸 |
研究開始時の研究の概要 |
菌根共生では、菌根菌から植物にリン酸が供給され、その一方で植物からはコストとして炭素化合物が菌根菌に供給される。菌根共生による植物の生育促進効果は、このコスト―ベネフィットによって大きく変わる。植物から菌根菌へ供給される炭素源として、新たに脂質の存在が明らかとなり、共生の維持に脂質供給が重要であることも示された。本研究では、菌根菌への脂質供給に関与する植物の脂質合成・輸送・制御の分子機構を明らかにするため、ミヤコグサ変異体を用いて菌根共生における脂質関連遺伝子の機能を解析するとともに、クロマトグラフィと質量分析により菌根菌へ輸送される脂質を同定する。
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研究成果の概要 |
アーバスキュラー菌根は、アーバスキュラー菌根菌と植物根との共生体である。近年、植物は菌へ炭素源として脂質または脂肪酸を供給していることが明らかになっている。本研究では、菌根共生における植物の脂質合成・輸送・制御機構を明らかにするため、候補遺伝子の変異体を取得・作出し、菌根共生における脂質関連遺伝子の機能を解析した。脂質輸送タンパク質LTPdM1が菌根形成に関与する可能性や、WRI5転写因子の下流で脂質代謝遺伝子が誘導される可能性が示された。植物から菌へ供給せれる脂質または脂肪酸を特定することはできなかったが、アーバスキュラー菌根菌はミリスチン酸添加で非共生的成長を開始することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
菌根共生における脂質代謝は新たな研究領域であり、共生のコスト―ベネフィットを考えるうえで重要な分野である。我々は、トランスクリプトーム解析をベースに菌根植物の脂質合成・輸送・制御に関わる候補遺伝子を抽出し、各種変異体を用いて機能解析を行った。本研究で得られた菌根共生における脂質代謝の基礎的知見は、圃場における菌根効果の診断につながる可能性がある。本研究では、植物から菌根菌へ供給される脂質の同定も試みたが、研究期間内には同定には至らなかった。一方で、非共生状態の菌根菌にミリスチン酸を添加するとバイオマスが増加することを明らかにした。今後、純粋培養による菌根菌資材の開発が期待される。
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