研究課題
基盤研究(B)
本研究では、化学構造が複雑な天然物をその類縁体とセットで“網羅的に”化学合成することで、単一の天然物を合成するだけでは困難な生物活性の発見とその活用を目指す。具体的には、イモリに特有なテトロドトキシン関連化合物群、海産ポリケチド天然物アプリシアトキシン/オシラトキシン類、海産アルカロイド天然物チャルテリン類をそれぞれ網羅的に化学合成し、広範な活性評価を通して新たな生物活性分子を探索し、作用機序解析を実施する。ここで見出される生物活性分子は、医農薬のシード化合物や生物学研究のツール分子として周辺領域への大きな波及効果が期待される。
本研究では、構造が複雑で生物活性がほとんど未解明な天然物を、関連化合物とセットで“網羅的”に化学合成することで、ユニークな生物活性の発見と活用を目指した。まず、ごく最近イモリから発見されたテトロドトキシンの生合成前駆体と考えられている環状グアニジン3つを合成することに成功した。ついで、海産アルカロイドチャルテリンの骨格合成法を開発した。さらに、海産ポリケチド天然物オシラトキシン/アプリシアトキシン関連化合物6つを同じ中間体から僅か数段階で合成する事にも成功した。これらの大半は、世界初の化学合成であり、これら合成化合物群を使った有用でユニークな生物活性の発見が期待される。
本研究の最大の学術的意義は、3つの天然物群の化学合成法を開発したことにある。特に、フグ毒テトロドトキシンの生合成中間体の候補化合物群(3個)と海産ポリケチド天然物オシラトキシン/アプリシアトキシン(6個)は、天然から単離された量がいずれも数十から数百マイクログラムと極めて少ないため、ほとんど生物活性評価が行われていない。テトロドトキシンは電位依存性ナトリウムチャネルの特異的阻害剤として、アプリシアトキシンは強力なPKCの活性化剤として有名である。本研究で関連化合物を網羅的に化学合成する手法を開発したので、今後、医薬品候補や研究用ツール分子となるようなユニークで有用な生物活性の発見が期待される。
すべて 2022 2021 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (19件) (うち国際共著 1件、 査読あり 18件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (62件) (うち国際学会 6件、 招待講演 8件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)
Heterocycles
巻: in press 号: 1 ページ: 343-343
10.3987/com-21-s(r)7
Tetrahedron Lett.
巻: 90 ページ: 153608-153608
10.1016/j.tetlet.2021.153608
Toxins
巻: 14 号: 2 ページ: 150-150
10.3390/toxins14020150
Org. Lett.
巻: 23 号: 23 ページ: 9232-9236
10.1021/acs.orglett.1c03565
Biosci. Biotechnol. Biochem.
巻: in press 号: 6 ページ: 1371-1382
10.1093/bbb/zbab042
Fundamental Toxicological Sciences
巻: 8 号: 3 ページ: 69-73
10.2131/fts.8.69
130008052793
巻: 102 号: 12 ページ: 2353-2362
10.3987/com-21-14538
40022762966
化学と生物
巻: 59 (9) ページ: 435-440
40022689487
巻: 23 号: 3 ページ: 989-994
10.1021/acs.orglett.0c04198
Marine Drugs
巻: 19 号: 1 ページ: 40-40
10.3390/md19010040
Sci. Adv.
巻: 7 号: 4 ページ: 1-14
10.1126/sciadv.abd9135
120006952777
J. Org. Chem.
巻: 86 号: 4 ページ: 3605-3614
10.1021/acs.joc.0c02966
有機合成化学協会誌
巻: 78 号: 6 ページ: 566-574
10.5059/yukigoseikyokaishi.78.566
130007853933
巻: 85 号: 7 ページ: 4848-4860
10.1021/acs.joc.9b03482
巻: 85 号: 11 ページ: 7534-7542
10.1021/acs.joc.0c00643
Org. Lett.,
巻: 21 号: 18 ページ: 7410-7414
10.1021/acs.orglett.9b02716
120006777538
Synlett
巻: 30 号: 08 ページ: 977-981
10.1055/s-0037-1611806
巻: 84 号: 15 ページ: 9750-9757
10.1021/acs.joc.9b01597
MEDCHEM NEWS
巻: 29 ページ: 193-197
130007981798
https://www.agr.nagoya-u.ac.jp/~organic/