研究課題/領域番号 |
19H02953
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39040:植物保護科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 英樹 東北大学, 農学研究科, 教授 (20197164)
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研究分担者 |
宮下 脩平 東北大学, 農学研究科, 助教 (60556710)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | 植物ウイルス / 植物免疫 / 核酸受容体 / キュウリモザイクウイルス / 核酸認識受容体 / ウイルス感染防御 / ウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
糸状菌や細菌の認識と防御応答に関わる受容体タンパク質は、植物と動物の間で構造的な共通性が認められることが広く知られている。一方、ウイルス防御システムについては、動物では、TLRやRIG-Iなどの核酸認識受容体タンパク質を介した自然免疫システムが中心的な役割を果たしている。しかし、植物では、RNAサイレンシングシステム以外に、核酸認識受容体タンパク質を介したウイルス防御システムの存在が明らかになっていない。本申請課題では、植物において核酸認識受容体を介して活性化される新規な植物免疫システムの存在を明らかにし、そのウイルス防御システムの分子基盤を解析する。
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研究実績の概要 |
近年、poly(I:C)[動物で自然免疫を賦活化する誘導核酸]を処理した植物において、防御応答マーカー遺伝子の発現誘導が報告された。しかし、動物の自然免疫においてウイルス感染防御に主要な役割を果たしている核酸認識受容体が、植物免疫にも存在するかどうは明らかになっていない。本研究では、植物における核酸認識受容体を介したウイルス防御システムの存在を明らかにすることを目的としている。シロイヌナズナに不顕性感染するキュウリモザイクウイルスHo系統[CMV(Ho)]を核酸認識受容体認識ウイルス、Turnip crinkle virus (TCV)をチェレンジ接種ウイルス(TCVの増殖抑制により、ウイルス防御システムの誘導が確認できる)に用いて解析い、CMV(Ho)感染が、再現性良くTCVの感染増殖と細胞間移行を阻害することを明らかにしている。 当該年度は、CMV(Ho)の前接種で生成されたCMV核酸分子の受容体認識によるウイルス防御システム誘導に起因することを調べるため、核酸認識受容体候補である3種類の受容体キナーゼ遺伝子(SERK1, SERK2 and SERK4)にタグ配列を付加したコンストラクトを形質転換したシロイヌナズナを用いて、共免疫沈降法により受容体キナーゼタンパク質とCMV核酸分子の結合を解析したが、安定した結合は確認できなかった。さらに、もう一つのアプローチとして、シロイヌナズナのゲノムにT-DNAを挿入することにより機能を喪失した変異体(serk1, serk2 and serk4)を作出した。SERK核酸認識受容体によるCMV核酸分子の認識がウイルス防御システムを誘導するのであれば、serk変異植物へのCMV(Ho)接種では、TCV増殖抑制がキャンセルされることが予想される。次年度は、これらserk変異植物を用いてウイルス防御システムを誘導試験を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、期間内にタグ配列を付加した3種類の受容体キナーゼ遺伝子(SERK1, SERK2 and SERK4)とCMV核酸分子の結合を解析を終了する予定であったが、コロナ禍により実験が遅れ、結合条件の十分な検討を行うことができず、現段階では両者の安定した結合は確認できていないことから、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
SERK核酸認識受容体によるCMV核酸分子の認識がウイルス防御システムを誘導することを実証するため、タグ配列を付加した3種類の受容体キナーゼ遺伝子(SERK1, SERK2 and SERK4)を高発現する形質転換体の取得を継続する。さらに同高発現形質転換体を用いて、核酸受容体SARKとCMV核酸分子の相互作用検出の条件を再検討する。また、期間中に作出した、T-DNAを挿入機能を喪失した変異体(serk1, serk2 and serk4)を用いて、ウイルス防御システムの誘導試験(TCV増殖抑制がキャンセルされるかどうかを調べる)を実施する。
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