研究課題/領域番号 |
19H02972
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
陰山 大輔 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (60401212)
|
研究分担者 |
佐原 健 岩手大学, 農学部, 教授 (30241368)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2020年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2019年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
|
キーワード | ボルバキア / 生殖操作 / 細胞内共生細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
メスヘテロ型の生物において細胞質因子は、性染色体(W染色体)と利害を共にしていることから密接な相互作用が予想される。本研究課題は、節足動物の細胞内共生細菌であるボルバキアが、宿主キタキチョウの性染色体の伝達や機能に与える影響について、その分子メカニズムの解明を目指すものである。本研究の遂行により、細胞内共生細菌が真核生物の生殖システムに対して、どこまで深く作用しているのかについての具体的な新規知見が得られるとともに、チョウ目昆虫全体の性決定に対する包括的理解が期待できる。また、この知見と理解を基盤として、ボルバキアによる生殖制御を介した新たな害虫管理技術確立への発展が期待できる。
|
研究成果の概要 |
キタキチョウにおいて、ボルバキアwFem系統を保持し全メスになる系統「全メス系統」は、性染色体であるW染色体を持たず、Z0型であるとされている。一方、wFemを持たず性比が雌雄1:1である「正常系統」はメスがZW型、オスがZZ型である。「全メス系統」の幼虫期には性決定遺伝子doublesexオス特異的産物、メス特異的産物が両方生産され、それが蛹期になると「正常系統」のメスと同様にほぼメス特異的産物のみとなる。ボルバキアは宿主の生育後期にいたるまで、性決定・性分化に対して不完全な影響しか与えず、その後一気に増殖し完全なメス化を達成するという新たな側面を明らかにした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
細胞内共生細菌であるボルバキアが昆虫の性決定に対して、生育後期にいたるまで部分的な影響しか与えておらず、その後一気に増殖し完全なメス化を達成するという、今まで知られていなかった新たな側面を明らかにした。昆虫の性決定が胚発生のみにとどまらないこと、ボルバキアによる宿主のメス化は意外にシンプルな仕組みで起きているのかもしれず、他の昆虫で知られるボルバキアによるオス殺し現象とは大きく異なることを改めて見出した。
|