研究課題/領域番号 |
19H02992
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中川 弥智子 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (70447837)
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研究分担者 |
松尾 奈緒子 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (00423012)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2019年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
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キーワード | 吸水深度 / 東南アジア熱帯雨林 / 安定同位体分析 / 樹木根 / 乾燥ストレス / 熱帯雨林 / 地上部特性 / 樹木の吸水深度 / 安定同位体比分析 / 乾燥ストレス耐性 / 季節変化 / 乾燥耐性 |
研究開始時の研究の概要 |
気候変動に伴って乾燥化が危惧されている熱帯雨林では、樹木の種によって乾燥ストレスに対する感受性が種によって異なると考えられているが、そのメカニズムは未だに解明しきれていない。これまでは、乾燥ストレスへの耐性と地上部(主に葉)の水分生理特性との関連性が注目されてきたが、水吸収は地下部の根系で行われることから、熱帯樹木の乾燥ストレス耐性の種間差は、吸水深度の違いに起因していると仮説を立てた。本研究では、東南アジア熱帯雨林の高木種を対象に、①乾燥期間における吸水深度、②吸水深度と乾燥ストレス耐性との関係性、および③吸水深度と地上部(葉と材)の水分生理特性との関係について明らかにする。
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研究成果の概要 |
樹木の種多様性が特に高いことで知られるマレーシア・サラワク州のランビルヒルズ国立公園において、高木樹木を対象に、多数の樹種で樹木の吸水深度を推定し、吸水深度の種間や時期による差異、および地上部特性との関連性を調査した。 フタバガキ科6種の間ではある種がより深い土壌水を利用していること、土壌含水率や気温などの影響で吸水深度は期間によって変化するものの、そのパターンは樹種によって様々であること、一部の時期では開花頻度が高い樹種ほど深い層から吸水していることが分かった。樹種によって吸水深度および吸水深度の継時変化が異なるため、乾燥ストレス耐性の種間差に吸水深度が影響している可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
乾燥が進むにつれて土壌表層から水が蒸発するため、土壌深度に沿って水の酸素や水素の安定同位体比勾配が形成されること、および樹木の根から吸水された水の同位体分別が樹体内では起こらないことを利用して、樹木の吸水深度は推定されてきた。そのため、頻繁な降雨によって土壌の同位体比勾配が形成されにくい湿潤林の樹木の吸水深度に関する研究はかなり限定的であったが、本研究により、試料の採集方法を工夫することで、熱帯雨林樹木でも吸水深度推定が可能であることを示した。また、樹木の吸水深度と開花頻度の関係を初めて明らかにした点でも、学術的意義が高い研究成果である。
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