研究課題/領域番号 |
19H03088
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大槻 恭一 九州大学, 農学研究院, 教授 (80183763)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2019年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | 人工林 / 雨水配分 / 樹幹流 / 樹冠通過雨 / 環境 / 災害 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、豪雨の増加に伴い大規模森林災害が多発し、森林管理は多面的機能の発揮促進から災害に強い森づくりへパラダイムシフトする必要性が検討されるようになってきた。森林では、林内雨は樹冠通過雨および樹幹流という形で林床に到達するが、両要素が森林環境に与える影響は林分構造によって変化する。そこで、針葉樹人工林の林分構造と水循環素過程を総合的に観測し、荒廃針葉樹人工林がどのような形で環境に悪影響を及ぼすのかを明らかにするとともに、得られた観測結果から山地災害や森林環境劣化を軽減する針葉樹人工林の森林管理法を提案する。
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研究成果の概要 |
本研究では,非管理針葉樹人工林が環境に及ぼす影響と,その対処法について雨水配分(樹冠通過雨,樹幹流,遮断損失)を中心に検討した.その結果,①立木密度が雨水配分に最も影響を与える林分構造指標である,立木密度の増加に伴って,②樹冠通過雨率は概ね一定の割合で減少する,③樹幹流率と遮断損失率は2500本/ha程度まではほぼ一定の割合で増加するが,立木密度が更に増加すると,④樹幹流率はさらに増加し,⑤遮断損失率は減少に転じる,⑥樹冠通過雨率には枯れ枝の状況が影響を及ぼし,⑦林分樹幹集水率は胸高直径に対してベキ関数的に減少すること等を見出し,枝打ち・間伐等の保育作業による雨水配分の制御効果を明らかにした.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年,豪雨の増加に伴って大規模森林災害が多発し,災害に強い森づくりの重要性が高まっている.森林では,過密になるほど遮断損失が増加し,林内雨(樹冠通過雨と樹幹流の和)が減少するため,豪雨を軽減する効果がある.しかし,樹幹流率が増加して局所的な雨水集中が増加し,樹冠通過雨率は減少するものの,滴下雨成分が増加するため林床により強い雨滴衝撃を与える可能性が高い.本研究は,針葉樹人工林の林分構造と雨水配分の関係を観測し,管理放棄された荒廃人工林とその管理が雨水配分にどのような影響を及ぼすかを明らかにし,枝打ち・間伐等の保育作業によって山地災害軽減の可能性があることを示唆した点で学術的・社会的意義がある.
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