研究課題
基盤研究(B)
ゴルジ体以降の後期輸送経路は複雑なネットワークを形成している。故に後期輸送経路を通過するタンパク質、脂質の輸送の経路及びそれを制御する分子基盤は未だ判然としていない。 複雑な後期輸送経路を支える主要な因子としてRabタンパク質とその結合分子(エフェクター)が知られている。しかしながら現在においてもエフェクターの未同定、不十分な解析などにより、輸送の分子機構の全貌の解明には程遠い。本研究では (1) 新規Rabエフェクタータンパク質の探索、解析、(2) それを通じて後期輸送経路の形成、維持の機構、さらにタンパク質輸送における後期輸送経路の役割について未解明な問題の解決を目指す。
哺乳類に存在する約60種類のRabの半数以上はゴルジ体以降の後期輸送経路に分布している。本研究ではそれらのRabとその結合分子であるエフェクタータンパク質の網羅的同定を行い、さらに機能解析を行なった。Rab6と結合するOxr1及びNcoa7はゴルジ体及びトランスゴルジネットワーク(TGN)においてV-ATPaseを抑制的に制御することを明らかにした。またRab8の結合タンパクであるEHBP1L1については、一次繊毛形成初期に形成される繊毛小胞に局在し、そのEHBP1L1結合分子であるCD2APとCIN85を介してアクチン重合を促進し、その結果繊毛長を抑制的に制御していることを明らかにした。
我々は本研究の成果を世界に先駆けて論文として発表済み、あるいは発表予定であり、その点ではコミュニティーへの貢献は大きいと考えている。また我々が同定したRab結合分子の一部は疾患の原因となることが明らかになっており、本研究により当該疾患の理解が深まることが期待されることからその点でも社会的意義があると考えられる。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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