研究課題
基盤研究(B)
ダイナミンはアクチン、微小管、生体膜を制御する。ダイナミンとそのターゲットは、重合脱重合、変形などダイナミック変化するため分子の作動実態は未解明である。我々は最近、ダイナミンの膜切断過程をin vitroで再現し、その働きを直接観察した(Takeda et al. eLife 2018)。in vitro再構成系と細胞レベルの解析により、アクチン、微小管、生体膜に対するダイナミンの作動実態と、ダイナミンのマルチ機能が細胞内で連携統合する仕組みを解析する。ダイナミンファミリー分子に共通する本質的分子マシナリーの解明、マルチ機能の統合の仕組みの解明、ダイナミン変異疾患の病態解明を目指す。
ダイナミン2のCharcot-Marie-Tooth病変異によりストレスファイバーが異常になることを見出し、ダイナミンがストレスファイバーの形成、安定化に必要であることを示すとともに、ダイナミンによるアクチン線維束形成をin vitroで再現した。また、ダイナミン1が微小管を束化することを見出し、この微小管束化が腎糸球体ポドサイトの一次突起の形成と安定化や、細胞形態の維持に必要であることを示すとともに、ダイナミン1の微小管結合部位を同定した。さらに、膜ダイナミクス制御に関して、ダイナミン2とBAR タンパクBIN1が協働して骨格筋細胞のT管の形成、安定化に機能することを明らかにした。
ダイナミンの変異が、てんかん性脳症や末梢神経変性疾患Charcot-Marie-Tooth病、先天性筋疾患の一つである中心核ミオパチーの原因となることがわかり、それらの疾患に関連するダイナミン変異も多数報告されている。ダイナミン分子の生理的機能、作動機構を解明するとともに、変異に伴う機能破綻のメカニズムを明らかにすることは、これらの難治性疾患の分子病態の解明や新規の診断、治療の開発に不可欠である。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 6件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
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