研究課題
基盤研究(B)
本研究では、互いに近縁でありながら異なる性決定システム(XY型およびZW型)を示すメダカ属の5種をモデルとして、性決定機構が未解明な4種(ジャワメダカ、ハウザンメダカ、ハブスメダカ、タイメダカ)それぞれから性決定遺伝子を同定する。さらに、これらと申請者らが性決定遺伝子(Sox3Y)を同定したインドメダカを含めた全5種で性決定カスケードを比較し、XY型からZW型が生じた進化メカニズムを解明する。これにより、ヒトとニワトリのような遠縁の種間比較ではみえてこなかった、性決定システム進化の基本原理を明らかにする。
メダカ属javanicusグループに属する全5種の性決定機構を解明するため、全ゲノム解析やトランスクリプトーム解析を行った。これにより、各種の性染色体構造や性決定遺伝子候補を明らかにし、一部については機能解析を行うことでその性決定機能を解明できた。これらの結果から、本グループの祖先において一度XY型からZW型が生じ、そこからさらに新規のXY型が複数回独立に生じたことが推定された。また、ZW型からXY型が生じる際には、Dmrt1が性決定機能を獲得することが重要であり、これによって新規のY染色体が生じてきたことが示唆された。
本研究は、これまでほとんど未解明であったZW型の性決定機構やXY型とZW型の交代過程について、そのメカニズムの一端を明らかにしたという点でその学術的意義は大きい。また、本研究により、メダカ属各種の遺伝的性の判別マーカーを開発することもできた。これらの性判別マーカーが野生集団でも利用可能であり、ジャワメダカを始めとしたメダカ属魚類が東南アジアの毒性学分野でモデル魚として利用されていることを考慮すると、これら性判別マーカーの開発は、内分泌攪乱物質の評価など、本分野において大きな意義をもつ可能性がある。
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