研究課題/領域番号 |
19H03286
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
戸田 守 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (40378534)
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研究分担者 |
和智 仲是 琉球大学, 戦略的研究プロジェクトセンター, 特命助教 (40635299)
富永 篤 琉球大学, 教育学部, 准教授 (60452968)
城野 哲平 広島修道大学, 人間環境学部, 助教 (70711951)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2019年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
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キーワード | 生物多様性 / 種分化 / 爬虫類 / 両生類 / 形質置換 / 2次的接触 |
研究開始時の研究の概要 |
ミナミヤモリ種複合群とヌマガエル種群には複数の種ないしは系統が含まれ,それらが多重分散してきたことがわかっている.また,両種群ともオスの求愛音で種認識していると想定できる.本研究では,これら2群が「二次接触→繁殖形質置換による分化→分散→二次接触」のサイクルにより多様化してきたという仮説を検証する.仮説から,1)隣接する系統は鳴き声が異なる,2)系統の接触域ではその違いがより顕著,3)最近分化した系統間では鳴き声に関わる遺伝子が加速進化している,4)鳴き声が違う系統は交雑しないの予測を立て,ゲノムワイドな遺伝子解析と,接触/非接触集団間の鳴き声形質の分析・比較により,それらをテストする.
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研究成果の概要 |
種の分散による近縁種同士の接触が,交雑回避のため種認知に関わる形質に変化をもたらし,結果として,非接触域の集団との間で次々に種分化を引き起こすとの仮説を検証した.対象のミナミヤモリ種群では,少なくとも一部の接触域では繁殖に関わる鳴き声の形質がより異なっている傾向があり,仮説を部分的に支持した.一方,接触により形質の変化が認められない系統もあり,全てがこの種分化様式で説明できる訳ではないことも明らかになった.もう一つの研究対象であるヌマガエル種群では,分布を接する2系統で鳴き声が違うことが明らかになったが,それが接触の結果であるかまでは詰めることができなかった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
繁殖形質置換の実証例は限られており,本研究の結果は,ヤモリ類において繁殖形質置換様のパターンが確認され,それが種分化の促進につながっている可能性を示した点で一定の意義がある.ただし,観察された変異の地理的パターンが実際に形質置換によるのか,仮に形質置換によっていたとしても,それと種分化との間に因果関係があるのかを明らかにするには至っておらず,今後,接触域と非接触域の詳細な比較・分析が必要である.本研究では,むしろ,ヤモリ類とヌマガエル類の分布と交雑の実態を明らかにし,種の分散と繁殖形質置換のサイクルによる玉突き的種分化仮説を検証する場を整えた点に大きな意味がある.
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