研究課題/領域番号 |
19H03326
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石原 健 九州大学, 理学研究院, 教授 (10249948)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2019年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | 学習 / 記憶 / 忘却 / 線虫 / 遺伝学 / ジアシルグリセロール / 可塑性 / 想起 / 行動遺伝学 / イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
動物は、経験に基づき形成された記憶によって行動を様々に変化させる。この記憶が保持される時間は、環境条件などの忘却過程によっても制御されている。このような能動的な記憶の忘却については、実行経路や調節機構がほとんど分かっていない。本研究では、能動的な忘却とその調節に関わる分子・神経回路メカニズムを、とくにその制御機構や「忘却」と「想起できないこと」の違い等に着目して、明らかにすることを目指している。
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研究成果の概要 |
動物は、様々な情報を記憶として保持しているが、その一部を忘却することによって、刻々と変化する環境に適応している。私達は、線虫C. elegansを用いて能動的な忘却のメカニズムを研究している。本研究では、学習した後に機能的な神経回路を可塑的に変化させることによって、忘却を制御していることを明らかにした。さらに、ジアシルグリセロールによって、記憶が神経細胞に存在しても想起できなくなることを明らかにした。この記憶の想起は、神経回路を通じて制御されていることを明らかにした。これらの成果は、高等動物での記憶を能動的に忘却するメカニズムの解明の基盤として重要である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、これまでほとんど明らかになってこなかった動物の能動的な忘却メカニズムに関する新しいメカニズムを解明しました。まず、学習後の神経回路の可塑性が忘却を制御していることが明らかになりました。さらに、ジアシルグリセロールによって記憶の想起が阻害されることも示されました。これらの結果は、高等動物における記憶の忘却メカニズムの理解に寄与し、認知症やPTSDなどの疾患に対する将来的な医薬品の開発につながる可能性があります。また、この研究は、学習と忘却のバランスが適切に保たれることが適応性のある行動に不可欠であることを示唆しており、生物の生存戦略に関する一般的な原則を明らかにする上でも重要です。
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