本研究は、これまでほとんど明らかになってこなかった動物の能動的な忘却メカニズムに関する新しいメカニズムを解明しました。まず、学習後の神経回路の可塑性が忘却を制御していることが明らかになりました。さらに、ジアシルグリセロールによって記憶の想起が阻害されることも示されました。これらの結果は、高等動物における記憶の忘却メカニズムの理解に寄与し、認知症やPTSDなどの疾患に対する将来的な医薬品の開発につながる可能性があります。また、この研究は、学習と忘却のバランスが適切に保たれることが適応性のある行動に不可欠であることを示唆しており、生物の生存戦略に関する一般的な原則を明らかにする上でも重要です。
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