研究課題/領域番号 |
19H03441
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
中山 淳 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (10221459)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2020年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2019年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | 糖鎖 / 胃発癌 / 炎症 / 遺伝子改変マウス / ヒト分化型胃癌 |
研究開始時の研究の概要 |
胃粘膜の下層から分泌される腺粘液は、糖鎖の末端にα1,4結合したN-アセチルグルコサミン(αGlcNAc)を有するユニークな糖蛋白質を含んでいる。最近、我々は胃幽門粘膜において炎症を基盤に胃分化型癌を自然発症するA4gntノックアウト(KO)マウスの解析から、αGlcNAcがMUC1とIL-11を介するがん関連シグナルを抑えることで胃分化型癌の発生を制御している可能性を見出した。本研究ではA4gnt KOマウス並びにヒト胃癌の病理検体を解析対象として、MUC1とIL-11に着目しながらαGlcNAcによる胃分化型癌制御機構の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
αGlcNAcによる胃分化型癌発生の制御機構におけるIL-11とMUC1の関与について検討した。IL-11については、野生型マウスのIL-11受容体にαGlcNAcが結合し、またA4gnt KOマウスでは野生型マウスと比較してSTAT3のリン酸化が亢進していることを提示した。また、ヒト胃分化型癌の8%の症例で癌細胞におけるαGlcNAc陰性かつリン酸化STAT3陽性を確認した。一方、MUC1についてはA4gnt KOマウスの癌化にMUC1が積極的に関与している可能性を示す知見は得られなかった。以上より、胃分化型癌発生制御機構の一つにIL-11を介するSTAT3のリン酸化抑制が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により胃腺粘液におけるαGlcNAcの消失はIL-11シグナルの活性化を促進することで分化型胃癌の発生に結びつく可能性が示された。糖鎖による胃癌抑制機構についての知見は未だ乏しいことから、本研究成果は糖鎖病理学分野においての学術学的意義がある。またA4gnt KOマウスの胃分化型癌発生にはSTAT3の活性化が関連することが示唆され、さらにヒト胃分化型癌でも癌細胞におけるαGlcNAc陰性かつリン酸化STAT3陽性例が確認できた。この結果は、分化型胃癌の治療戦略として、IL-11/STAT3経路の阻害が有効である可能性を示している。
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