研究課題
基盤研究(B)
本研究は,これまでの転写制御(mRNA産生の制御)と比較して未知の領域である,免疫システムにおけるmRNAの転写後制御機構(mRNAの局在,分解,翻訳)を解明することを目的としている。特に,近年,申請者らが免疫応答におけるmRNA制御に関わることを見出したRNA分解酵素Regnase-1,RNAヘリカーゼUPF1および蛋白質合成装置ribosomeに着目し,それらの制御因子を通じて免疫システムにおける新たなmRNAの翻訳制御機構の解明を試みる。
本研究課題は,免疫におけるmRNAの翻訳制御機構の解明を目的としている。これまでの研究より,RNA分解酵素Regnase-1は翻訳が生じている免疫関連mRNAの分解を誘導することが分かっているが,その詳細な分子メカニズムは不明である。そこで,本研究では,Regnase-1を介したmRNA翻訳制御機構に関して研究を進めた。その結果,Regnase-1は翻訳初期段階のパイオニアラウンド翻訳が生じているmRNAを標的としており,そのRegnase-1によるパイオニアラウンド翻訳のmRNA分解が,迅速に炎症性mRNAの翻訳状態を解消し,素早くそして効率的に炎症の終結を誘導していることを明らかにした。
炎症は,病原体の排除に重要な免疫反応であるが,過剰な炎症は敗血症性ショックや自己免疫疾患,動脈硬化,代謝性疾患など様々な病気の原因である。この炎症応答の厳密な制御にRNA制御が重要であることが近年明らかとなってきたが,その分子メカニズムは不明であった。本研究は,Regnase-1によるパイオニアラウンド翻訳が生じているmRNA分解が免疫制御に重要であることを解明した。本研究の成果は,過剰もしくは慢性的な炎症で生じる炎症性疾患の病態解明や,ワクチンの効果を高める添加剤(ワクチンアジュバント)の開発など,新たな治療法の開発につながることが期待される。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件) 備考 (3件)
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