研究課題
基盤研究(B)
慢性不眠症の治療抵抗要因の中で最も対応に困窮するのが睡眠状態誤認(Sleep state misperception; SSM)である。SSMは客観的睡眠が改善しているにも関わらず主観的な睡眠評価が低く留まる病態像である。睡眠薬の多剤併用・長期投与に陥る主な原因一つであり、その抑止の観点からもSSMのリスク要因分析、臨床診断および治療法の開発が求められている。本研究では、通常生活環境下において客観的睡眠状態を同一個人内で長期間にわたり測定することでSSMの実態把握とリスク要因分析を行い、その後にSSMフィードバック型認知行動療法プログラム(sCBT-I)と適用判定アルゴリズムの作成する。
慢性不眠症の睡眠状態誤認のリスク要因分析を行った。治療抵抗性の慢性不眠症患者31名(平均年齢63.2歳)、健常対照群42名(59.6歳)を対象に、睡眠日誌とアクチグラフMTNの同時記録、日中機能障害の評価を行った。不眠症群は対照群に比較して、主観的総睡眠時間は62分短く、中途覚醒時間は39分長く、睡眠潜時を28分長く報告した。不眠症群の総就床時間は有意に延長していた(45分間)。不眠症群では有意に日中機能障害が不良であった。不眠症群では、就床時間が長いほど、就床時刻が早いほど、睡眠状態誤認が大きかった。以上の結果から、不眠症群での睡眠状態誤認の存在と、就床行動との関連が明らかになった。
慢性不眠症の治療抵抗要因の中で最も対応に困窮するのが睡眠状態誤認(Sleep state misperception; SSM)である。SSMは客観的睡眠が改善しているにも関わらず主観的な睡眠評価が低く留まる病態像で、薬物療法が奏功せず難治性である。睡眠薬の多剤併用・長期投与に陥る主な原因一つであり、その抑止の観点からもSSMのリスク要因分析、臨床診断および治療法の開発が求められている。本研究の成果は不眠症に対する認知行動療法の主要コンポーネントである睡眠制限法の理論的根拠とも合致した所見であり、睡眠薬の適正使用の推進にも寄与する。
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