研究課題/領域番号 |
19H03580
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
橋本 隆紀 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (40249959)
|
研究分担者 |
紀本 創兵 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00405391)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
2021年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2019年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
|
キーワード | 死後脳 / パルブアルブミン / ソマトスタチン / アクチン関連 / μオピオイド受容体 / 錐体ニューロン / 作業記憶 / ネットワーク / 血管作動性腸管ペプチド / ヒト死後脳 / 遺伝子発現 / 死後脳研究 / 霊長類モデル / 発達 / 背外側前頭前野 |
研究開始時の研究の概要 |
統合失調症の前頭前野では、抑制性介在ニューロンの特定のサブタイプに発達過程の異常を反映する機能低下が存在し認知機能障害に関与していると考えられる。本研究では、介在ニューロンに発現しその神経伝達を制御するμ型オピオイド受容体(MOR)と、統合失調症患者の前頭前野で認められる特定の介在ニューロンサブタイプの変化の病態における関係を、ヒト死後脳および霊長類の発達モデルの解析を通して解明し、MORシグナルを利用した認知機能障害にたいする新規治療法の開発に役立てる。
|
研究成果の概要 |
統合失調症の前頭前野ではμ型オピオイド受容体(MOR)が増加している。MORは、統合失調症で変化が報告されている抑制性介在ニューロンに属するパルブアルブミン(PV)ニューロン及びソマトスタチン(SST)ニューロンに発現する。本研究では、MOR発現増加の疾患特異性、MOR発現ニューロン種、統合失調症のニューロン変化とMORの関係を調べた。MOR発現は、統合失調症とうつ病で増加し、対照者ではPVニューロン、SSTニューロン、錐体ニューロンの多くに確認された。統合失調症の前頭前野では、MORの発現はSSTに加え錐体ニューロン変化の指標であるアクチン関連分子ARPC3及びCDC42と負の相関を示した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
統合失調症では、認知機能に中心的役割を果たす前頭前野において、抑制性介在ニューロンに属するPVニューロン及びSSTニューロン、そして興奮性の錐体ニューロンの変化が報告されている。本研究では、統合失調症の前頭前野で発現の増加が認められるμ型オピオイド受容体(MOR)が、これらのニューロンに広く発現すること、SSTニューロン及び錐体ニューロンの変化と負の相関を示すことが明らかになった。統合失調症におけるMORの増加は、SSTニューロンおよび錐体ニューロンの変化の分子メカニズムに関連すると考えられる。本研究の成果は難治性の認知機能障害の病態メカニズムとそれに基づいた治療法の開発に役立つ可能性がある。
|