研究課題/領域番号 |
19H03703
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
上野 貴将 熊本大学, ヒトレトロウイルス学共同研究センター, 教授 (10322314)
|
研究分担者 |
桑田 岳夫 熊本大学, ヒトレトロウイルス学共同研究センター, 特任准教授 (70346063)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2021年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2020年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2019年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
|
キーワード | HIV-1 / neutralizing antibody / Tanzania / HIV感染症 / 中和抗体 / HIV/AIDS |
研究開始時の研究の概要 |
HIV-1変異株を広範に中和することのできる感染者が1%以下と極めて稀に見つかり、分離された一部の中和抗体(bnAb)が、著明な抗ウイルス効果を示すことが最近分かって来た。しかしながら、これらは偶発的な発見に依存しているため、bnAbは未だごく少数の感染者からしか分離されていない。抗体が形成可能なバラエティを考えれば、さらに優れた機能を持つ抗体が存在するはずである。本研究では、世界で蔓延する主要なウイルスサブタイプが混合して蔓延するアフリカ地域で大規模に集めた未治療感染者検体をもとに、戦略的なスクリーニング系を構築して、bnAbの分離をシステミックに実施する。
|
研究成果の概要 |
HIV-1変異株を広範に中和できる抗体は極めて少数の感染者のみで認められる。本研究では、サブタイプA, C, Dとそれらの組換え変異ウイルスを多く含むタンザニアをベースにして、bnAb応答に優れたElite Neutralizerの検索を行った。未治療症例を含む400名超の血漿を用いて、15個のEnvグローバルパネルに対する中和活性を評価したところ、70%以上のEnvを中和する優れた症例として3名を同定した。臨床データ等を用いて相関を調べたところ、ウイルスRNAコピー数およびIL-21量が有意に中和活性と関連していた。変異性の大きいHIV-1に対する中和抗体の解明に資すると示唆される。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
抗ウイルス薬へのアクセスが向上し、HIV感染者の予後は劇的に改善された。しかし、いまだに3700万人のHIV感染者がおり、エイズは世界レベルの脅威であり続けている。このため、HIV-1変異株を広範に中和できる抗体を新たな治療薬として開発する研究が注目を集めている。しかし、興味深いことに中和抗体は極めて少数の感染者からしか分離されていない。本研究では、複数のHIV-1変異株が複雑に絡み合って流行するタンザニアにおいて、中和活性に優れた複数の症例を見出した。さらに、中和活性と関連する因子の一部を同定したことで、優れた中和抗体の探索と治療薬としての開発に大きく前進した。
|