研究課題
基盤研究(B)
筋サテライト細胞 (MuSC: Muscle Satellite Cell) は通常は、細胞周期G0期 (静止期) で維持されている。一方で、レジスタンストレーニング等の骨格筋への過負荷刺激により、MuSCは活性化・増殖後に筋線維へ新たな核を供給する事で筋肥大に働く。つまり、MuSCは「日常動作」と「レジスタンストレーニング」の動き(機械刺激)の違いを区別していると考えられる。しかしその分子メカニズムは不明である。本申請課題では、MuSCの能力を利用した筋疾患・筋萎縮治療法への応用を最終目標として、マウス筋肥大モデルやMuSCの静止期維持シグナルに焦点をあてる事でMuSCが異なる筋の動きを感知する分子機構解明に取り組む。
本申請では,筋常在性の間葉系前駆細胞が物理的刺激に応答し,Yap/Taz依存的に増殖因子を発現する事で,サテライト細胞の増殖を促進する事を発見しました。特に,間葉系前駆細胞由来のThrombospondin-1 (Thbs1) に着目し解析を行った結果,Thbs1がサテライト細胞のCD47を刺激する事で,筋損傷がない環境下でもサテライト細胞の増殖を誘導する事を見出しました。さらに,サテライト細胞の静止期シグナルであるカルシトニン受容体(CalcR)の発現低下が,Thbs1の作用には必須で,CalcR欠損マウスにCD47のアゴニストを投与すると,サテライト細胞の増殖を誘導できる事を証明しました。
一般的には,物理的刺激により筋線維が壊れることがサテライト細胞の活性化・増殖を誘導すると考えられていました。そのため筋サテライト細胞が運動依存的に増殖するために,損傷は必要なく,間質の細胞が必要であることはこれまでの常識を塗り替える成果となりました。また,核は細胞のまさに「核」であり,老化や病気によってその質が低下します。損傷も物理的負荷もない条件でも,筋線維核を増加できる事は,筋線維核の機能が低下する疾患への応用が期待されます。
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