研究課題/領域番号 |
19H04302
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
濱村 奈津子 九州大学, 理学研究院, 教授 (50554466)
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研究分担者 |
光延 聖 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (70537951)
鹿島 裕之 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究プログラム), 研究員 (70780914)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2019年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 微生物重金属代謝 / ヒ素代謝 / 微生物金属代謝 / 重金属汚染 / アンチモン還元 / ヒ素酸化 / ヒ素還元 / 微生物ヒ素代謝 / 地球微生物学 / ヒ素酸化還元 / アンチモン / 金属生物変換 |
研究開始時の研究の概要 |
猛毒のヒ素などの有害金属は世界で最も被害の深刻な汚染物質の一つであり、鉱山開発など人為的な汚染源や、鉱物や採掘ずりからの溶出など自然汚染源からも環境に放出され、長期的な安定化が望まれている。本研究では、有害金属動態プロセスのモデル化と安定化技術への応用を目指し、鉱山廃棄物の有害金属挙動に影響する微生物-鉱物相互作用を解明する。特に、深刻な健康被害を引き起こすとして重要汚染物質に指定されているヒ素とアンチモンに着目し、鉱山廃棄物の有害金属動態プロセスに微生物作用を組み込んだ包括的モデルを構築し、固定化に寄与する新規微生物機構を同定するとともに、長期的安定性の評価を実施する。
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研究実績の概要 |
本研究では、有害金属動態プロセスのモデル化と安定化技術への応用を目指し、鉱山廃棄物の安定性及び有害金属挙動に影響する微生物-鉱物相互作用の解明を目的としている。当該年度は、鉱山廃棄物の安定性および有害元素挙動における微生物-鉱物相互作用の影響を明らかにするために、以下の3項目を実施した:1)鉱山汚染地域調査・現場培養、2)有害金属の固体化・安定化に関与する微生物代謝機構の同定、3)固体・不溶性の有害金属代謝に関与する微生物機構の同定。 上記1)では、鉱山跡地の金属廃水において現場培養を実施し、集積した微生物群集の16S rRNA遺伝子アンプリコン解析の結果、相対頻度割合で8割以上を占めるGamma-proteobacteriaに属する金属代謝細菌の集積が検出された。現在、ゲノム解析を進めるとともに分離培養を試みている。2)では、有害金属の固体化を触媒する微生物に関して、ヒ素およびアンチモン酸化還元細菌のゲノム解析を実施し、有害金属代謝遺伝子群を検出するとともに、機能未同定遺伝子の金属代謝における機能推定のため、変異株の作成および発現解析を進めている。3)に関して、汚染環境試料を用いて電気化学培養を実施したところ、高濃度の毒性元素存在下で電気活性の上昇が検出され、電極集積系より有害元素耐性や鉄代謝能を有する細菌の分離培養に成功した。さらに項目2で同定したヒ素およびアンチモン還元細菌において、鉄水酸化鉱物の還元能を示すことを明らかにし、これら固体金属代謝微生物の活性が有害金属鉱物の形態変化や安定化に寄与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、当初の計画通り鉱山汚染現場での有害金属形態変化に関与している微生物群集の同定が順調に進んでいる。また、有害金属固体化に関与する微生物代謝機構のゲノム解析も実施済みであり、遺伝子発現解析のターゲットとなる機能遺伝子群の同定も計画に沿った結果が得られている。電気培養系の実施や、固体有害金属代謝に関与する微生物群の培養についても順調に結果が得られていることから、当初の目的に沿って順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、微生物―鉱物相互作用に着目し、鉱山汚染環境における金属の固体化や鉱物代謝に関与する微生物の同定を進めている。これまでに得られた有害金属の固体化・安定化に寄与する微生物のゲノム解析を進め、金属代謝プロセスに関与する遺伝子を同定し、遺伝子発現解析を実施する。さらに、現場培養や電気培養で得られた集積系においては、主要な構成種の分離培養を継続するとともに、電気活性や金属代謝能の同定を実施するとともにゲノム解析により金属代謝ポテンシャルの解明を試みる。
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