研究課題/領域番号 |
19H04433
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
松吉 大輔 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 研究員 (70547017)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2019年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 刺激選択性 / 可塑性 / 高次視覚カテゴリ / MRI / 縦断研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、高次視覚カテゴリにおける「刺激選択性の起源」を明らかにすることを目的に、長期的な学習による高次視覚カテゴリ獲得過程の縦断的行動・MRI測定を行う。多くの既存の研究は、カテゴリ選択的領域の活動を指標として実験条件による変化を測定するばかりで、「その選択性がどのように獲得されたのか」という根本的な問いには全く答えていない。そのため、本研究では1) MRIと行動による1年間の縦断的測定と、2) 機能(fMRI)と構造(拡散強調MRI [dMRI]/構造MRI [sMRI])のマルチモーダルMRI測定という学術的独自性の高い2点の方法によって、この問題の解決を試みる。
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研究成果の概要 |
高次視覚カテゴリは、脳の異なる領域で選択的に処理されている。しかし、それらの活動を即時的に調べるだけでは「そもそも視覚カテゴリ選択性はどのようにして獲得されたのか」という根本的な問いには答えられない。そこで本研究はこの脳の刺激選択性の起源を明らかにするため、長期間学習による新奇視覚カテゴリの獲得過程をMRIと行動の縦断的測定によって検討した。その結果、マクロ脳構造レベルでは変化がないものの、ミクロ脳機能・構造レベルでは学習による神経系の再組織化・変化が生じる可能性が示された。新奇な高次視覚カテゴリ獲得過程において、脳は構造・機能の両面で変化することで、効率的な心的処理を支えていると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
新奇な高次視覚カテゴリが獲得される脳・行動メカニズムの一端が解明されることは、刺激選択性という脳の根本的動作原理の理解を促進する。カテゴリカルに処理することは一見するとステレオタイプな処理・反応を促すことを意味するようであり、望ましくない反応形成のようにも感じられる。しかし、ヒトの脳・認知は全てのモノを細部に渡って処理できるほどの能力を有していない。そのため、カテゴリを形成してそのカテゴリにおける平均的な特性を脳内に保持しておくことで、効率的な処理が可能になると考えられる。従って、ヒトのカテゴリ獲得過程の研究には、ヒトの効率的な認知・脳処理の鍵が隠れていると考えられ、さらなる研究が望まれる。
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