研究課題/領域番号 |
19H05599
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分B
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石毛 和弘 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (90272020)
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研究分担者 |
川上 竜樹 龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (20546147)
石渡 通徳 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (30350458)
石渡 哲哉 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (50334917)
岡部 真也 東北大学, 理学研究科, 准教授 (70435973)
宮本 安人 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (90374743)
高津 飛鳥 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (90623554)
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研究期間 (年度) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
139,750千円 (直接経費: 107,500千円、間接経費: 32,250千円)
2023年度: 28,210千円 (直接経費: 21,700千円、間接経費: 6,510千円)
2022年度: 27,820千円 (直接経費: 21,400千円、間接経費: 6,420千円)
2021年度: 28,210千円 (直接経費: 21,700千円、間接経費: 6,510千円)
2020年度: 27,950千円 (直接経費: 21,500千円、間接経費: 6,450千円)
2019年度: 27,560千円 (直接経費: 21,200千円、間接経費: 6,360千円)
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キーワード | 形状解析 / 漸近解析 / 冪凹生 / 爆発現象 / 冪凹性 / 凹性保存 / 指数型非線形楕円型方程式 / 分数冪熱方程式 / F-凹性 / 初期トレース / シュレーディンガー熱半群 / Joseph--Lundgren 指数 / 高階線形熱方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
数理科学上現れる数理モデルの多くは偏微分方程式として記述され、その解の形状解析および漸近解析はその数理モデルの解明に必要不可欠である。特に、拡散現象に関連した数理モデルにおいては、解はある拡散物質の濃度分布を記述することが多く、解の形状を知りたいと思うのは自然な知的欲求である。さらに、爆発や凝集といった非線形特有の特異現象の詳細な解析において解の形状解析と漸近解析は有効な解析手段である。本申請課題では、拡散方程式を中心に発展方程式やその系の解の漸近解析及び形状解析を系統的に行い、様々な発展方程式やその系の解の定性的性質の研究の深化及び未開拓問題の発見・解明を目指す。
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研究実績の概要 |
研究計画に基づき研究を遂行した。主なものは以下の通り。 1. 研究代表者石毛は冪凹の一般概念である F-凹を考え, 凸領域における Dirichlet heat flow (以下 DHF と省略する) が保つ F-凹の特徴づけを行った. 具体的には (1) DHF が保存する最強の F-凹性の発見 (2) 空間次数が2以上とき (一次元の場合は準凹を除けば), 対数凹が DHF が保存する最弱の F-凹性であること (3) 空間次数が2以上とき, F-凹が真に対数凹より弱いならば, ある F-凹な初期函数で, 対応する DHF がある時刻で如何なる F-凹性をも失うものが存在する (4) DHF が保つ F-凹の必要十分条件の発見 を行った。さらに, 様々な放物型方程式の解の凹性研究に応用した. この研究は分担者高津氏 (都立大), 連携研究者 Paolo Salani 氏 (フィレンツェ大) との共同研究である. 2. 石毛は, 前年度までの研究を発展させ、強制項をもつへノン型非線形楕円型方程式の解構造について研究を行なった. 特に, 非線形度を決めるパラメターと強制項に関するある仮定の下, 強制項の大きさに応じてへノン型非線形楕円型方程式が非負値解をもつかどうかの完全分類を与えた. この研究は指導学生である片山翔氏 (東大数理, M2) との共同研究である. 3. 石毛は, 零 Dirichlet 境界条件の下で, ユークリッド空間内の半空間における半線形熱方程式の非負値解の初期トレースの存在と一意性を示した. さらに, 時間局所解が存在するための最適な初期函数の必要条件、十分条件を与えた. この結果は時間局所解が存在するための初期函数の最も強い特異性を決定する. この研究は連携研究者比佐幸太郎氏 (東北大), 高橋仁氏 (東工大) との共同研究である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
優れた科研費研究員の雇用により、研究成果は計画通り順調に進展している。また、計画調書と比べ、計画通り進んでいない研究項目は無く、一部の研究項目では計画調書作成時では予想しえなかった優れた研究成果や新たな研究の進展もある。特に、当研究課題の中心的課題である解の凹性の保存性について決定的な結果を得ることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
研究の遂行については順調に推移しているため、研究計画全体に大きな変更はない。このため,各分担者と研究連絡を緊密に取りながら、それぞれの研究項目「解の冪凹性理論の進展および精密化 」「 漸近解析理論の発展および応用」「発展方程式の解の爆発現象や界面現象の解析」「動的境界条件付き発展方程式」「非線形楕円型方程式の解構造の解析」「解析学で有用な様々な不等式の最適性や精密化」を確実に遂行していく。また、関連研究集会を開催し、分担者や関連研究者との研究討論を活発化させる。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A+: 研究領域の設定目的に照らして、期待以上の進展が認められる
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