研究課題/領域番号 |
19K00104
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
三浦 要 金沢大学, 人間科学系, 教授 (20222317)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ソクラテス以前哲学 / 神 / 自然神論 / 神概念 / ソクラテス以前 / プラトン / パルメニデス / デモクリトス / 有るものと思考 / ヘラクレイトス / エンペドクレス / メリッソス |
研究開始時の研究の概要 |
ソクラテス以前哲学者の「神」概念を非宗教的概念と見なす合理主義的解釈を批判的に再検し,「譬喩」として回収しきれない彼らの宗教的心性が厳然として存在していること,そしてその心性を映す「神」概念が紀元前5世紀で終焉を迎えるわけではなく,その後のプラトンのデーミウールゴス(製作者),そしてストア派の自然学における能動的原理としての神へと接続していることを歴史的観点から明らかにする。
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研究成果の概要 |
ソクラテス以前哲学者の宇宙論において総じて統轄的役割を果たしている「神」に関しては,これまで,これを「脱神話化」「脱神論化」に基づいた実質的に非宗教的な概念であり,宗教的重要性を持たない譬喩にすぎないとする解釈がなされてきた。しかしこのような解釈は妥当性を欠いた皮相的なものと言わざるをえない。確かにソクラテス以前哲学者たちが目指したことは「宗教改革」ではなく「自然理解」であったが,彼らはその枠組みの中で伝統宗教を超克しながらも依然として宗教的心性を堅持しつつ独自の神概念を構想していたのであり,その限りで,彼らの「神」概念が「譬喩」として回収しきれない複雑な内実を有する。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ソクラテス以前哲学者は,自然の説明において擬人主義的神々を排除して抽象的レベルへと上昇しながらも,人によって生きられるこの自然的世界を根底から支えている力に対して,矛盾も葛藤もなしに明らかに原初的な尊崇や畏怖,賞賛といった宗教感情を自覚的に保持し続けている。その限りで,彼らの自然学説や宇宙論における合理的原理である「老いることのない永遠の神」は,決して譬喩ではなく彼らの宗教的心性が反映された文字通りの神であり,彼らの非譬喩的な「神」と合理的自然学とは連続一体的なものとして調和をなしている。かくして彼らの「神」を非宗教的概念と捉える伝統的解釈に問題があることを示した点に成果の学術的意義がある。
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