研究課題/領域番号 |
19K00110
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 麗澤大学 |
研究代表者 |
岩澤 知子 麗澤大学, 国際学部, 教授 (60748375)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 諏訪流神道 / 神仏習合 / 密教 / 灌頂儀礼 / 胎生学 / 神信仰 / 胎内五位論 / 胎生思想 / 胎内五位 / カミ信仰 / 即位灌頂 / 神祇制度 / 儀礼 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中世諏訪の神仏習合思想から生み出された「諏訪流神道」の形成過程および構造の分析を通して、諏訪古来のカミ信仰が、古代律令制により導入された神祇制度、さらに中世における仏教との交渉を通して、いかに多義的な神の姿を創出するに至ったか、その豊かな歴史性や多様性を明らかにしていく。中世日本の神仏習合に関するこれまでの研究は、神道と仏教の関係を分析するに際し「神道」を一括りの概念と捉えてきた。本研究では、近年の神道史研究の成果を踏まえ、「神道」を「カミ信仰」「神祇制度」「神道」という三つの異なる概念から成るものと捉え直した上で、これら三要素の相互関係ならびに仏教との習合関係を探求していく。
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研究成果の概要 |
本研究は、中世諏訪に生まれた「諏訪流神道」の最重要文献『諏訪大明神深秘御本事大事』の解読を通して、以下のことを明らかにした。(1)神長・守矢満実の主導によって構築された「諏訪流神道」には、同時代に中央で普及していた両部神道の秘説・儀礼が数多く取り入れられていることが証明された。(2)それと同時に、両部神道とは異なる諏訪古来のカミを祀る独自の儀礼や行法が存在していた事実も明らかとなった。中でも、両部神道が展開した「胎内五位論」を、固有の宗教風土に基づく死生観・生命観の表現へとさらに変化させていった諏訪独自の思想(諏訪流の胎生学的思想)が見出された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、中世の諏訪祭政体における神長・守矢満実が著した『諏訪大明神深秘御本事大事』の解読に注力した結果、今まで中央政治体制に近い「伊勢流」などの神道流派でのみ観察・分析されてきた「両部神道」の儀礼/行法が、中央から遠く離れた信濃国諏訪においても「諏訪流神道」として相承されていたことが明らかとなり、中世諏訪における神仏習合の内実の解明に大きく貢献することとなった。さらに新たな課題として、諏訪流神道と両部神道との類似性にとどまらず、両部神道とは異なる独自の神仏習合儀礼/行法(例えば「諏訪流の胎生学的思想」)を生み出していった諏訪の文化的背景を探究する必要性が浮かび上がってきた。
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