研究課題/領域番号 |
19K00131
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 京都市立芸術大学 (2022-2023) 京都工芸繊維大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
永井 隆則 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 非常勤講師 (60207967)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ユートピア芸術論 / ポスト印象主義 / セザンヌ / ファン・ゴッホ / ゴーギャン / シャヴァンヌ / 近代化 / アンチ・モダニスム / ユートピア / 社会 / ブルターニュ地方 / プロヴァンス地方 / 反近代化思想 / 都市と田園 / キリスト教 / ユートピアン / 写実 / 造型 / 近代絵画の父 / ポスト印象派 / 近代化社会 / 古代美術 / プッサン / アルカディア / ロココ / フェット・ギャラント / ゴッホ / 南フランス / エクス・アン・プロヴァンス |
研究開始時の研究の概要 |
①本研究は、これまで、ゴッホとゴーギャンの関係を除いて、殆どなされてこなかった、セザンヌ/ゴッホ/ゴーギャン、3人の緊密な美学的連帯を「ユートピア芸術論」に注目することで明らかにする。 ②3人の活動を、造型的側面ではなく、思想的側面から分析する事で、「個性」ではなく「連帯性」、「個人」ではなく「集団」の活動として明らかにする。 ③本研究は、文献学や実証主義、図像学、形式分析といった伝統的美術史学に、最新の「場所論」の視点、さらに、哲学、美学・芸術学、社会史、思想史、精神分析学を融合させた学際的な研究で近代美術研究に新しい地平を導入する事を目指す。
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研究成果の概要 |
ポスト印象派(ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌなど)が彼らの生きた時代や社会に疑問を抱き生きづらさを感じる中で、その解決策としてユートピアを求めて近代化の進むパリから逃れて、南フランス、ブルターニュ地方やタヒチ島で制作し現地の風景や事物に着想を得てユートピア絵画を構想した事を明らかにした。彼らが活動したのは19世紀末だが、19世紀初頭から始まった近代化の矛盾や弊害が表面化してきた正にその時、彼らがユートピア絵画を描いたことから、過去に描かれたユートピア絵画、文学や思想書と同様、ユートピアは社会との関係の中で構想され、その点で一見、社会からの逃避に見えるが一種の社会参加であった事が明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ポスト印象派(印象派の後1880-90年代に展開した世紀末の芸術現象全般を指す)の中でもその出発点となった狭義のポスト印象派(セザンヌ、ファン・ゴッホ、ゴーギャン)において、ユートピア芸術論が一種の共同作業として形成されたのではないかとの仮説に立って、新古典主義の「集団美学」を否定したロマン主義以降、専ら「個性」や「独創性」の追求として語られてきた近代主義(modernism)の言説、換言すれば「個人主義美学」の言説に疑問を投げかけ、3人の画家のみならず世紀末の近代美術の展開においてユートピア芸術論という「集団美学」が大きな役割を果たしていたことを明らかにし新しい近代芸術論の可能性を提唱した。
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