研究課題/領域番号 |
19K00178
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 東京造形大学 |
研究代表者 |
池上 英洋 東京造形大学, 造形学部, 教授 (00409806)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 帰属問題 / レオナルド・ダ・ヴィンチ / レオナルド派 / 赤外線撮影 / 下絵 / ルネサンス / イタリア美術 / 図像 / 美術史 / 西洋美術史 |
研究開始時の研究の概要 |
レオナルド・ダ・ヴィンチは、特に活動後半期において、一枚の絵を単独で描くことをほとんどしていない。そのため、彼の思想を知るためには、実際の制作作業を担当していた工房の弟子たちの作品を見る必要がある。 しかし、同工房の作とされる作品の多くが、誰の手によるのかいまだ確定していない。こうした帰属問題に対し、本研究では、表面からは見えない下絵を撮影できる赤外線カメラを用い、帰属問題特定の手掛かりとする。 赤外線撮影は帰属問題特定においてすでに目覚ましい成果をあげており、本研究でも、まだ赤外線撮影をおこなっていないレオナルド一派の作品群に実施することで、帰属判定に利用し、さらに同派内での伝播経路を特定する。
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研究成果の概要 |
一、まず36点の作品に赤外線撮影をおこなった。そのうち従来よりレオナルデスキへの帰属が推測されてきた作品については追認の、また7作品についてはほぼ否定の結果となった。しかし1作品については、顔料層こそ後世の加筆だが、下絵レベルではレオナルド的要素を明瞭に発見できた。 二、次にレオナルドへの帰属がほぼ確実な約半数の作品については、下絵と現状間の乖離と変化の考察に用いた。その結果を用いて、赤外線撮影写真にできるかぎり忠実に基づくデジタル復元を試みた。 三、四主題の系統作品群の伝播経路の推定をおこなった。それらすべてに関して、レオナルドから工房内外への伝播経路をある程度明らかにすることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
赤外線撮影写真による帰属判定の有効性が一層明らかとなったことに加え、それらの結果に基づく主題と図像の伝播経路の推定も可能となることが得られた。レオナルド派のみならず、帰属問題を抱える絵画作品のうち、赤外線撮影がおこなわれていない作品はまだ無数にあるため、今後はこの手法を適用する際のモデルとなりえる。 同時に、本研究成果は、単に帰属問題のいくつかを解決したにとどまらない。なぜならレオナルド派の思想はフランス他で引き継がれ、その後の西洋文化の展開に大きな役割を果たしたからで、にもかかわらず、その伝播経路の実態が明らかではなかったことによる。本研究は、こうした目的の研究にとってもモデルとなるだろう。
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