研究課題/領域番号 |
19K00190
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
杉本 欣久 東北大学, 文学研究科, 准教授 (80463446)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 東北地方の画家 / 江戸時代の画家 / 御用絵師 / 町人絵師 / 武士の絵画 / 東北の画家 / 狩野派 / 文人画家 / 画家の系譜 / 画人伝 / 近世絵画史 / 伝記資料 / 地域と階層によるアイデンティティ / 武士が描いた絵画 |
研究開始時の研究の概要 |
江戸時代に活躍した東北の画家たちにおいて、出身地域や身分階層によって育まれた感性や嗜好などのアイデンティティが、いったいどのようなかたちで作画活動に反映しているのか。この問いに対し、それぞれの環境で育まれた感性や嗜好を知るため、その人と為りを理解し得る伝記資料を分析し、「略伝」として集約することで実証的に答える。資料とは、領主としての藩に伝来した関係文書、菩提寺に伝わった墓碑や文書、画家と交流のあった学者の漢詩文集や随筆という異なる性質を備えた3種を指す。ここから伝記に関する記述を抽出、さらに画家ごとに集積したうえで、地域や階層ごとの共通点を分析し、それぞれのアイデンティティを解明する。
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研究成果の概要 |
江戸時代の東北諸藩に所属した画家を取り上げ、人となりや活動を記した基礎資料を収集し、「出身地域」と「身分階層」の環境要因によって育まれた感性や嗜好がどのように作画活動に影響したのかを調査した。おおむね絵画制作を本業として一定の扶持や所領を拝領して大名家に仕えた「御用絵師」、藩に所属して俸禄を賜いながら職務を遂行し、一方で余技として絵筆をふるった「武士」、さらに藩領の城下町や宿場町で生まれて画家となった「町人絵師」の3つに大別でき、後者ほど活動領域における自由度が高く、所属流派や絵画表現を左右する大きな要因となったことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
取り上げた34名の画家の多くは東北の地方史で知られていたものの、実際は江戸や京都などとも深い結びつきを有し、ローカルに終始するものではないことを明らかにした。また、江戸時代の絵画史が多様性を有するものであったと示すため、画家の伝記や作画活動を伝える文献資料を『東北画人基礎資料集』という成果物に集約した。これを美術史研究者、大学図書館、東北地方の主な図書館に配布する一方、「東北の画人たち」と銘打った美術展覧会を2022年と2023年の2度にわたり、松島の古刹・瑞巌寺の宝物館で開催する。この両者により、東北の画家に対する美術史研究の活性化、さらに各地域の文化財に対する認識の深まりが期待できる。
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