研究課題/領域番号 |
19K00239
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
本村 健太 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (70281946)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 基礎造形 / メイカームーブメント / ハプティック・ヴィジュアル / バウハウス / 構成学 / ハプティック / 糸かけ曼荼羅 |
研究開始時の研究の概要 |
創立100周年を迎えた近代ドイツの芸術学校バウハウスは、当時の造形活動によって近代デザインを築くほどの影響力をもっていたが、状況の異なる現在においてもバウハウスが行っていたことは有効であるかという課題を探る。ここでは当時のバウハウスにおいて行われていた「触覚」に関する訓練に着目して、視覚だけでなく触覚を含んだ表現としての基礎造形をレーザー加工機や3Dプリンターなどのデジタル工作機器によって実験的に実施する。さらに、「サブカルチャー」といわれる視覚文化との連結も試みながら視覚表現の基礎を捉え直すことも試みる。
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研究実績の概要 |
バウハウスを造形精神の原点として、「ハプティック・ヴィジュアル」(触覚・視覚)という概念を中心に、メイカームーブメント後の構成学の刷新を試みる目的において、触覚と資格の統合を意図し、レーザー加工機や3Dプリンターなどのデジタル工作機械を使った制作者、すなわち「メイカー」としての実践例をまとめた。 メイカーとしての多様な制作実践として、1. 手工芸としての「糸かけ曼荼羅」からデジタルの糸かけ曼荼羅シミュレーション、そして、簡易的に糸かけ曼荼羅を制作できる「糸かけ曼荼羅ボード」の開発と応用について、2. タータン風チェック柄のシミュレーションからポリエステルフェルト地の表面へのレーザー彫刻による応用、3. その他、アクリル板のiPad用制作台、MDF素材の鍋敷き、3Dプリンターを使ったオリジナルキャラクターの花生け、ハプティック・ヴィジュアルをテーマとするメビウスの輪などを紹介した。 さらに「ボロノイ分割」を活用した基礎造形の事例として、三次元でパラメトリックな造形としてデジタル作品を試作した事例とともに、ハプティック・ヴィジュアルを意図したボロノイ分割の平面構成やレーザー加工機を用いた作品化についても紹介した。これらの実践的な成果物は、岩手県の「いわてメイカー展」において展示した。 継続して考察の対象としてきた近代バウハウスにおいては、芸術家やデザイナーを養成する基礎訓練に「触覚」に関する訓練も付加されていた。すなわち、近代デザインの基礎を築いたドイツの造形芸術学校バウハウスにおける基礎教育においても「触覚と視覚」に関わる基礎造形的な課題は実施されていたといえる。このことについての詳細は、最終年度の成果としてまとめる予定であるため、まずは実践的課題のほうの整理を優先した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レーザー加工機や3Dプリンターなどのデジタル工作機械を使った制作実践については、その関連の論文として「メイカームーブメント後の基礎造形 そのハプティック・ヴィジュアルな制作の実践について」『アルテス リベラレス』(岩手大学人文社会科学部紀要)にまとめることができた。また、「いわてメイカー展」においては、多様な課題設定で基礎造形としての可能性を示し、成果を発表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は最終年度となるため、現状の「ハプティック・ヴィジュアル」(触覚・視覚)という概念を中心にレーザー加工機や3Dプリンターなどのデジタル工作機器を使った立体構成や表面処理の可能性をこれまでの実践を踏まえて総合的に検討する。 その中では、バウハウスの触覚教育との関連において、バウハウスで重視された造形要素の一つであるテクスチャーの応用を3Dプリンター、レーザー加工機、VR空間の関連で検討することも予定している。 制作実践に加えて、理論的なアプローチとしては、バウハウスにおける触覚訓練をヨハネス・イッテンを主軸に再考し、さらにバウハウスにおける「ニューヴィジョン」の事例を文献を用いて具体的に取り上げ、現代の視座から「ハプティック・ヴィジュアルな構成学」として論考を加えてまとめていく。
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