研究課題/領域番号 |
19K00283
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
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研究機関 | 四日市大学 |
研究代表者 |
斎藤 憲 四日市大学, 関孝和数学研究所, 研究員 (10221988)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | アポロニオス / 円錐曲線論 / 写本の図版 / 数学文献の図版 / Apollonius of Perga / Eutocius of Ascalon / エウトキオス / diagrams of geometry / 古代の幾何学の図版 / ギリシャ数学 / 幾何学の図版 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者が研究代表者であった以前の研究課題「古代中世数学文献の図版のデータベース化」で作成・公開したプログラムDRaFTを改良して,写本の不規則な図版を再現する機能に,不規則性を除去して数学的に正確な図版を再現する機能を付加し,より多くの研究者の用に供する. またこの機能を利用して,アポロニオス『円錐曲線論』の写本の図版を再現するとともに,そこから数学的に正確な図版も作成して公開する.
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研究実績の概要 |
前年に引き続き,アポロニオス『円錐曲線論』の現存ギリシャ語写本のarchetype(原型)であるVat. Grec. 206写本の図版をの分析を実施し,現存する第4巻までの全命題の図版を検討した.特に着目した点は2つある.まず,本研究の動機の一つとなった,円錐曲線(2次曲線)の円弧による代用である.これによって曲線が切り取る線分の長さが影響を受けるため,図版は必然的に不正確である.そのことがどのような影響を及ぼしているか,また命題の理解の支障になっているかを検討した.次に,点の配置によって一つの命題に複数の場合が存在する場合,写本にも個々の場合に応じた複数の図版が見られることが多い.それらがどの程度,可能なすべての場合を尽くしているかを確認した. その結果の一部を,16世紀に出版された円錐曲線論の印刷本,とくに最も普及したコンマンディーノのラテン語訳の図版,および近年まですべての研究者が利用していた1890年代のハイベアの校訂版の図版と比較した結果を11月にイタリア数学史学会で発表した.コンマンディーノの図版が計量的な関係(線分の長さや三角形の面積の関係)において非常に正確であり,19世紀末のハイベアの校訂版が,写本とは独立に図版を書き起こしているにもかかわらず,時として写本の図版以上に不正確であることなどを指摘した.このことは,ただでさえ難解な『円錐曲線論』の読解をさらに困難にして,研究の進展を阻害してきた可能性がある.なお,21世紀に入って出版されたDecorps-Foulquierによる最も新しい校訂版の図版はかなり正確であるが,写本の図版とはかけ離れていることがある.もとより写本の図版は不正確であるから,何らかの修正は必要であるが,できるだけ写本の図版における図形の配置を保った正確な図版描画が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナウイルスの流行により,渡航によってイタリアの研究者,ソフトウェア会社との打ち合わせを実施できなかったことが,大幅に研究が遅延した最大の原因である.幸い,2022年11月に渡航して打ち合わせをすることができ,残ったプログラム作成作業を開始することができた.プログラム作成は時間を要する作業であり,延長した研究期間の2023年3月までに研究を完了することはできなかったが,作業は進行しつつあり,再度の延長期限である2024年3月には研究を完了できる見込みである.
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今後の研究の推進方策 |
プログラム作成について,小さなステップごとに作成したプログラムを検品し,次のステップに進む方法を採用し,作業の遅れがあった場合にすぐ対応し,大きな遅れが出ないように作業を進めている.
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