研究課題/領域番号 |
19K00313
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 (2020-2022) 国文学研究資料館 (2019) |
研究代表者 |
恋田 知子 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (50516995)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 絵巻 / 奈良絵本 / 朝倉重賢 / 嫁入り本 / 絵入り版本 / 絵草紙屋 / 出版 / 17世紀 / 仮名法語 / 年中行事 / 尼寺 / 屏風絵 / 月次絵 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、都の月毎の祭礼風俗を絵と詞で綴った『十二月絵巻』の基礎研究により、17世紀後半の絵巻制作の実態について解明を試みるものである。『十二月絵巻』の現存諸本の把握と書誌学的調査に基づき、①伝本系統の分析など基礎研究を行うとともに、同種の絵巻が17世紀後半に集中して制作されたことに着目し、②装訂・筆跡等から同時代の絵巻群との比較を試みる。あわせて「月次絵」の系譜における本作品の特徴や意義を考究し、制作や享受の場にも照らし、17世紀後半における絵巻制作の実態解明の一助とする。
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研究実績の概要 |
本研究の中心課題である17世紀後半の奈良絵本・絵巻制作の実態解明を目指し、2021年度説話文学会例会シンポジウム「図像説話と女」(2021年12月18日)において口頭発表をおこなった「一七世紀後半の絵巻と女性―『子易の本地』を例として―」について、前半と後半に分けて、それぞれ「『子やす物語』考―諸本と典拠―」『藝文研究』123-1(2022年12月)、「一七世紀後半の絵巻と女性―『子易の本地』を例として―」『説話文学研究』58号(2023年7月刊行予定)として成稿化した。本作品は基本構造を同じくしつつも時代設定や人名、物語展開の異なるA・B二系統に大別されるが、両系統いずれにも朝倉重賢筆と推察される伝本が認められ、異なる系統の豪華な絵巻が重賢周辺の絵草紙屋で集中的に制作されたことがわかる。精査の結果、A系統の本文は従来指摘されてきた『百練抄』所収記事ではなく、『神皇正統録』所収記事をもとに成ったことが指摘でき、また寛文元年の版本をもとに絵巻化されたB系統の絵には、大英博物館蔵『役行者絵巻』や思文閣古書資料目録掲載の『武家繁昌』絵巻との類似が認められるなど、重賢周辺の絵草紙屋での制作実態の一端と17世紀後半の嫁入り本としての本作品の意義を明らかにした。すなわち、『神皇正統録』に記された中世日本紀に基づく「夫婦婚合」と老の坂の縁起伝承の影響下にある「子易平産」を体現、予祝する絵巻としての意義を見出せるものと結論づけ、17世紀後半に集中的に制作された嫁入り本の具体的な意義の一端を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
17世紀後半の絵巻制作の実態解明を目指そうとする本研究の課題の遂行という点では、おおむね順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の未使用額を有効に活用し、関連資料の収集や調査に努めるとともに、延長年度の成果報告に向けて円滑かつ柔軟に対応したい。
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