研究課題/領域番号 |
19K00445
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 早稲田大学 (2020-2021) 静岡大学 (2019) |
研究代表者 |
山内 功一郎 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (20313918)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 現代詩 / アメリカ詩 / アメリカ現代詩 / アメリカ文学 / 詩 / オブジェクティヴィズム / パーマー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の最終的な目標は、オブジェクティヴィズムがどのような「対話」の可能性を示しているか明らかにすることにある。 そのために、まず「思弁的実在論」(以下SR)における事物が「非人間主義的な事物」であるのに対して、オブジェクティヴィズムにおける事物は互恵的な性格を持つことを明らかにする。 そしてSRにおける事物はあくまでも「不気味な事物」だが、パーマー作品における事物は、人間の意識との間で相互的な影響を与え合うので、本質的に双方向的な関係性を生み出すことを証明する。このような「対話」は、現代社会におけるコミュニケーション不全を軽減し、健全な交渉の場を実現するうえで有効な作用を示すはずである。
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研究成果の概要 |
現在アメリカを代表する詩人の一人と目されているマイケル・パーマーの作品を分析することによって、アメリカ詩における「オブジェクティヴィズム」(直訳すれば「客観主義」だが、本質的にはこれは「事物主義」を指す概念である)の実践とその意義を研究した。具体的な作品分析を通してオブジェクティヴィズムの実態に迫った点において、本研究は先駆的な試みとなった。 研究の結果、たとえば特に思弁的実在論における事物が歴史や文化の相関性を拭い去った「非人間主義的な事物」であるのに対して、パーマー作品のオブジェクティヴィズムにおける事物はむしろ異文化や異言語の環境下で「対話」を促す事物であることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究課題の学術的意義は、パーマー作品の分析を通して文学の領域と哲学・思想の領域を統合した点にある。その結果、特にパーマー作品における事物は、人間の意識との間で相互的な影響を与え合うので、本質的に双方向的な対話の関係性を生み出すことが明らかになった。この視点は、今後のアメリカ詩研究においても一つの指標を示したと考えられる。 また本研究課題の社会的意義は、上述のような「対話」の在り方を突き止めた点において認められる。この視点は、ともすれば異文化や異民族を不気味な存在として排斥しがちな現代社会のコミュニケーション不全を解消し、対等かつ健全な交渉の場を実現するうえで有効な手段を示したと言える。
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