研究課題/領域番号 |
19K00524
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
梶谷 崇 北海道科学大学, 未来デザイン学部, 教授 (10405657)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 柳宗悦 / 民藝 / 朝鮮 / フィールドワーク / 民藝運動 / 柳兼子 / 民藝館 / 式場隆三郎 / 吉田正太郎 / 柏崎 / 浅川伯教 / 浅川巧 / 朝鮮美術 |
研究開始時の研究の概要 |
2019年度は朝鮮の植民地支配と文化的状況について先行研究や基礎文献を整理しつつ、柳宗悦の朝鮮フィールドワークに関する歴史的事実関係や実態に関する情報整理を進め、本研究テーマの基盤とする。 2020ー21年度は、柳のフィールドワークの実態について、文献資料の収集、詳細な読み込み、分析を行う。また、日本や朝鮮において実地調査や情報収集活動を行う。21年度中を目途に学会等で成果発表を行う。 2022ー23年度はこれまでの調査の発展的分析を行う。柳が民藝を見出した日本各地や琉球、台湾、アイヌ文化などへも視野を広げ、比較しながら柳のフィールドワークの近代的意義について考察をし、成果をまとめて発表を行う。
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研究成果の概要 |
昭和初期の柳宗悦らの朝鮮踏査のテクストの分析を通し、大正期の朝鮮工芸美論からの変化について明らかにした。柳の大正期の朝鮮工芸言説では日本や中国との対比から朝鮮民族としての独自性を強調する傾向があった。それに対し、民藝運動開始後の昭和初期は、次第に個別の生産地や産品への注目に変わる。近代化する京城を批判的に見つつ、全羅道といった周縁部の民藝の村にノスタルジックなまなざしを向け、民藝を生産するユートピアを重ね合わせた。このような視線は、日本国内の民藝踏査を経た彼らの視点が朝鮮半島に持ち込まれたものだ。地方に同情的な視線を向けつつも、朝鮮の産地は民藝の理想郷としての意味を付与されていった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
柳宗悦の朝鮮工芸に関する言説研究は概ね朝鮮民族美術館が設立された大正期の言説分析に集中し、民藝運動開始後の昭和初期についてはそれほど研究の蓄積がなされていない。本研究テーマはその不足を補うことに第一の学術的意義がある。 また民藝運動と朝鮮工芸言説との関係性から柳の工芸美論をどのように評価するのかという点についても従来あまり分析の対象とはされてこなかった。朝鮮に対する柳の言説は大正から昭和までの全体を通して評価されてきたが、本研究では民藝運動が開始され彼らが日本国内の民藝調査をすることで得られた視点や民藝産地への眼差しが、朝鮮言説に反映されていることを明らかにした。この点が第二の学術的意義である。
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