研究課題/領域番号 |
19K00645
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
尾山 慎 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (20535116)
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研究分担者 |
佐野 宏 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (50352224)
吉岡 真由美 奈良女子大学, 文学部, 特別研究員 (40882395)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 文字 / 表記 / 表記体 / 仮名 / 萬葉集 / 古代 / 平仮名 / 片仮名 / 万葉仮名 / 表記論 / 書記論 / 音仮名 / 訓仮名 / 訓字 / 文体 / 上代 / 記紀萬葉 |
研究開始時の研究の概要 |
上代日本語表記における、「表記体の形成」および「表記環境の構成」の精査を通して、平仮名、片仮名への道筋を明らかにする。特定の語の表記に収束する形で使用される仮名と、そこから相対的に解放されているとみられる仮名を精査し、ひらがな、カタカナとの関係をみる。「表記環境の構成」論では、その仮名がおおむね仮名ばかりで占められる環境にあるのか、もしくは漢字(訓字)に親和する形として存在しているのかという違いを考証していくものである。前者であれば平仮名、後者であれば片仮名的特徴をもつと言える。これらの検証を通して従来説ではふれられなかった上代の仮名から次世代の仮名への連続と不連続とを明らかにする。
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研究成果の概要 |
上代日本語における表記研究において、文字論と表記論が重要であることはこれまでも指摘されてきたが、仮名の実態をみるためには、訓字との比較、語の単位で統計調査をとるべきことの有意性が明らかになった。また日本語の語種の一翼を担う漢語について、語形も字音で取り入れることも広義に訓読の一形態と捉え、倭語で受容する狭義の訓読と並行的に捉える有効性を指摘できた。これにより漢語を大別して、語形としての漢語と、表記上の漢語とし、この漢語受容が、すなわち字音仮名の成立、運用に大きく関わっていることを見通した。以上の研究成果は、単著『上代日本語表記論の構想』(花鳥社2021)にまとめて発表済みである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
もともと、言語学領域において文字表記論は立ち後れていると言われ続けてきた。とりわけ、上代は表記が漢字だけによるため、後代の平仮名論、あるいは仮名成立論からしても後れを取っていた。今回の課題は、上代内部の文字表記論であると同時に、後代を扱う文字表記論との連携も模索したものであった。この点も、単著『上代日本語表記論の構想』にまとめた。 古代の文字文化は、中国、朝鮮半島の文字文化を不可分の関係で考究することが求められる。今後ともこの課題に取り組み、成果をあげることは東アジア共同体ともいうべき一つの文化の実相を記述することに繋がる。歴史的研究はすなわち東アジア文化圏の現状と未来を思索することにも繋がる。
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